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今回は、組織再編により親子関係を逆転させ、軽課税国に不当に所得を移転する租税回避行為を防止することを目的とした日本の税制を紹介します。

本連載で以前紹介しましたタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制、以下TH税制)は、会社の場合、親会社が日本にあり、子会社は軽課税国にあるという関係が前提で子会社の所得を親会社に合算し課税するものです。そのため、組織再編によって親子関係を逆転させることによりTH税制を免れることができることになります。 (続きを読む…)

今回は、グループ会社間における過大な利子の支払いによる租税回避行為の防止を目的とした2つの日本の税制を紹介します。

1.過少資本税制

(1)概要
日本の法人が外国の親会社等関連会社から資金調達をする場合、出資を受ける方法と借入により調達をする方法があります。出資を受けた場合には配当金を親会社に支払い、借入の場合は利息を支払うことになります。同じ外国親会社への支払いでも、配当金は損金(税務上の経費)ではないのに対し支払利息は損金となり日本子会社の課税所得を減らすことになることから、節税のため、出資による調達を減らし借入を多くするタックスプランニングが考えられます。特に日本は実効税率が諸外国に比べ高いため、グループ全体の税コスト低減のためにこの方法は有効であるといえます。

こうした過大な借入(=過少の資本)を利用した国際的な租税回避行為を防止するために作られた制度が過少資本税制です。具体的には、外国親会社等からの貸付けと出資の比率が原則3倍を超える部分に対応する支払利子は損金にしないとする制度です。 (続きを読む…)

国境を越える取引を行なう場合、法人が所在する国での課税(居住地国課税)と、所得を得た事業を行なっている外国での課税(源泉地国課税)の双方を受け、二重課税が発生することがあります。例えば、日本の法人税は日本の法人に対し、日本国内で稼いだ所得(国内源泉所得)だけでなく、日本の国外で稼いだ所得(国外源泉所得)にも課税する全世界所得課税を行うため、国外源泉所得に対して、日本と外国の双方が課税することがあります。

この二重課税の状態が解消されないと、企業の国際取引や海外進出に影響がでるため、各国では国際的な二重課税の排除の制度を設けています。 (続きを読む…)

前回に引続き、日本のタックスヘイブン対策税制の概要を説明します。

タックスヘイブン対策税制とは、日本の企業や個人が軽課税国にある実体のない子会社等を利用した不当な所得移転により租税回避を行うことを防止する制度で、この制度の適用を受けた場合には、その外国子会社等の所得を日本の親会社等の所得に合算して課税するものです。

適用除外基準とは? (続きを読む…)

今回は、税率の低い国にある子会社等を利用して所得を移すことによる租税回避行為の防止を目的とした、日本のタックスヘイブン対策税制がテーマです。

タックスヘイブン対策税制とは?

企業が国際化を進めるなかで、税金コストの低減のために、税率の低い国に所得を移転させることは税務プランニングの基本の一つといえます。
日本は諸外国に比べ法人税率が高いため、日本の企業は、直接国際取引をせずに、税負担の低い国に子会社を設立しその子会社を通じて取引をすることによって税負担を軽減する方法をとることは十分考えられます。
しかし、これにより日本の法人税収入は大きく減少するため、日本では、海外の子会社等を利用した不当な所得移転により租税回避をしているとした場合には、その海外子会社等の所得を日本の親会社の所得に合算して課税する、外国子会社合算税制(以下「タックスヘイブン対策税制」)が設けられています。タックスへイブン(Tax Haven)とは、「税の回避地」の意味で、税負担がない或いは所得税率が非常に低い国・地域をいいます。
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前回に引続き、移転価格税制の概要を説明します。

国外関連者

移転価格税制は、企業と国外の関連者間の取引を対象とするものですが、取引相手が国外関連者か否かの判定は、資本関係や実質的な支配関係により行われます。具体的にはその企業が所在する国の税法により定められていますが、資本関係は持分割合が一定以上(50%以上、25%以上など)である場合、実質支配関係は役員の派遣などにより取引相手の企業を実質的にコントロールできる関係にある場合などをいいます。

独立企業間価格の算定方法

国外関連者との取引価格(移転価格)が、同様の取引を第三者間で行なった場合の価格(独立企業間価格)と差があることで所得が減少する場合に移転価格税制の適用を受けることから、移転価格と比較する独立企業間価格をどのように算定するかが重要となります。
独立企業間価格の算定方法には、独立価格比準法(棚卸資産の価格を直接比較し算定するため、比較対象の棚卸資産に高い類似性が求められる)、再販売価格基準法や原価基準法(第三者間取引の売上総利益率から算定し、売り手と買い手の果たす機能の類似性が求められる)など多くの方法があります。ここでは、比較対象取引を抽出し易いなどの理由から実務で多く採用されている取引単位営業利益法(Transactional Net Margin Method:以下、TNMM法)を例に独立企業間価格の求め方を説明します。
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今回は、海外の関連会社と取引がある場合に、特に留意が必要な税制がテーマです。

海外の関連会社と取引がある場合、その取引価格を操作することにより、所得を税率の低い国に移転し、グループ全体の税金を少なくすることが可能となります。そこで各国では、こうした海外の関連会社との取引を通じた所得の海外への移転を防止するため、移転価格税制という制度を設けています。
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前回は、企業が他国において、「事業を行なっている(とみなされる)一定の場所」(=PE)を有していない場合には、その事業により生じた所得は当該他国では課税されないこと、またPEがあるとされた場合に、課税を受けるPEには、支店PE、建設PE、代理人PEの3つの類型があることを説明しました。

サービスPE

OECDモデル租税条約では、従来、固定的施設を必要としないサービスの提供はPEとならないとしていましたが、国境を越えたコンサルティングサービスや技術サービスが増えるにつれ、サービスが発生する源泉地国の課税権を保護すべきであるとの考えから、これまでは国連モデル条約に特有の概念であったサービスPEの考え方が2008年から取り入れられています。
サービスPEがどのように規定されているかにつき、近年サービスPEに対する課税が強化されている中国を例として、2010年に公布された、「中国とシンガポール間の租税条約及び議定書に関する解釈通達」(以下、通達)の内容を紹介します。
この通達のなかで、‘同様の規定をもつ中国が締結した他の租税条約に対しても、この通達を準用し解釈と執行する’とありますので、本通達の内容は企業に対する日中租税条約の適用にも影響があることが考えられます。
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国境を越える取引や活動を行なう場合、外国で発生した所得については、通常、自国だけでなく、その所得が発生した外国(=源泉地国)が課税を行ないます。
これを源泉地国課税といいますが、源泉地国で発生した外国企業の事業所得については、外国企業が源泉地国に恒久的施設を有するか否かにより課税の有無が決まります。
これは、恒久的施設がなければその活動による事業所得に対しては課税をしないとする、事業所得に関する国際課税のルールがあるためです。
恒久的施設は、PE(Permanent Establishment)とも言い、この事業所得に関する国際課税の原則を、PEなければ課税なし、などと言うこともあります。
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租税条約の主要な項目につき、前回の6.給与所得、7.役員報酬に続き、残りの項目を紹介します。

8.二重課税の排除方法

OECDモデル租税条約では、二重課税の排除の方法につき、国外所得免除方式と外国税額控除方式の2つの方式が定められています。
国外所得免除方式は、国外を源泉とする所得には課税をしないとすることにより二重課税を発生させないようにする方式です。
外国税額控除方式は、国外を源泉とする所得につき、その国(仮に中国)で課された税額を、居住者(仮に日本法人)が全世界所得(国内源泉所得+国外源泉所得)に対して課された自国(日本)の税額から控除することにより二重課税を排除する方式です。
日中租税条約や日港租税協定では外国税額控除方式が採用されています。このうち日中租税条約では、通常の外国税額控除のほかに、みなし外国税額控除の規定も設けられています。詳しくは次回以降に紹介しますが、この規定により、中国側から日本に支払うロイヤルティ(使用料)については20%の源泉税率が課されたものとみなされ、中国の国内法で規定される実際の源泉税率10%の税額のほか、更に10%の税額を日本側で外国税額控除の対象とすることができます。
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