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2022年4月26日付け労働大臣規則4号(PERATURAN MENTERI KETENAGAKERJAAN NOMOR 4 TAHUN 2022)が発布されました。この規定は前規則2号(同年2月施行)の改訂となります。

従前、JHT(Jaminan Hari Tua:老齢補償)の支給要件について、これまでは失業(退職)時にJHT積立額の全額を還付請求することが可能でした。しかし本来の趣旨「老齢」とは異なることから、規則2号では、失業(退職)時の支給についても定年年齢(満56歳)を満たす必要があるというように変更・規定されました。これに対して労働者からは、実質満56歳まで積立額を引き出すことができない不利益的変更として、労働組合をはじめとする団体が抗議しデモが各地で発生していました。

これを受けて、大統領は制度改定を指示し(同年3月)、本規則によて再改訂がなされました。

本法令においては、従前の規則2号で規定した定年年齢までの待機期間を1ヶ月とする旨が新たに規定されています。

外国人のJHTの還付につきましては、これまで同様、上記待機期間に関わらず支給(還付)申請が可能となっています。

インドネシアにおいては2022年4月はイスラム教の断食期間となり、5月2-3日は断食明け大祭(レバラン)となります。

例年、この時期に駐在員様と御家族が一時帰国されることが多く、下記ではコロナ禍における一時帰国について御案内します。

ITAS(居住許可保持者)

ITAS有効期間内においては、出入国が可能です。従前ITAS/KITASとは別に再入国許可が必要となっておりましたが、ITASの付与と共に再入国許可が附帯していることから、一時帰国・インドネシア再入国に特別な許可は不要です。

インドネシア再入国の際には、ITAS保持者であることを空港イミグレーションに伝え、VOAでの入国でないことを伝える必要があります。

出入国時のPCR検査と隔離について

3月末より、インドネシアが指定国から外れたことにより日本への帰国者の隔離が原則不要となっております。また、日本からインドネシアへの再入国においても、出発時(48時間以内)のPCR検査が陰性(英文証明書が必要)であれば、到着時の空港ではPCRテストが免除で体温検査のみとなりました。

査察について

例年、インドネシアでは断食期間とレバラン日程前後においては、労働省・移民局の査察が強化されます。ITASを保有しない出張者の方や新たに解禁されたVOAで入国者においてはもちろん、ITAS保有者であっても住所変更や就労地が異なる場合には、摘発対象となる可能性があるので、注意が必要です。

断食期間と断食明け大祭について

2022年5月2日(月)・3日(火)は、イスラム教の断食明け大祭日(レバラン)としてインドネシアでは祝日の指定がされています。これに先立ち、4月3日(日)からはイスラム教の断食期間となります。

例年、断食期間においては官公庁は例年14時前で業務終了となるだけでなく、手続きスピードが著しく低下する傾向にあります。また、官公庁による抜き打ち監査が実施されることが多く、許認可・滞在許可等には特に注意が必要です。

法定賞与THR

インドネシア労働法においては、断食明け大祭前には労働者に対してTHR(法定賞与)の支給が義務付けられています。

法定支給額は1年以上勤続する従業員には基本給与の1か月分、1ヶ月以上1年未満勤続の従業員の場合には、1ヶ月の基本給を12で案分して勤続月数を掛けた額の支給を義務付けています。

また、支給日は断食明大祭日の1週間以上前、今年は2022年5月25日まででの支給が法令上必要となります。昨年、一昨年においてはコロナウィルス感染拡大の影響と企業の経済的打撃の関係から労使間での合意に基づく分割支給などの特別措置が可能でしたが、本年度は認められておりません。

2022年1月6日付け大統領令1号と2022年2月15日付け2022年公共事業大臣通達4号が公布され、BPJS Kesehatan(健康保険)についての一部運用改正等が行われております。

2022年1月6日付け大統領令1号においては、下記の申請等を行う場合には健康保険加入が条件となるとして、実務運用を改訂するものとなっています。

  1. 事業融資
  2. メッカ巡礼
  3. 法務・知財・出入国に関わる申請
  4. 学校教員等
  5. 労働分野の許認可
  6. 公共事業の実施
  7. 土地売買
  8. 運転免許証の取得
  9. 労働者の海外派遣等々

上記に伴い建設業者のBPJS Kesehatan (健康保険)の加入の徹底が2月15日付4号通達でアナウンスされております。

BPJS Kesehatan(健康保険)は政府管掌の健康保険であり、会社に所属する従業員は、6か月以上インドネシアで就労する外国人を含めて全員の加入が必須となっております。本件通達では従前の規定の変更や改定は無いものの、建設業者に全従業員・作業員を加入させることを徹底する旨をアナウンスがなされております。

本通達の背景としては、建設業者は不定期雇用や期間雇用の従業員を雇用することが多く、一時的に大人数の作業員が所属することや、建設工期が終了すれば多数の者が契約満了として退出することから、保険加入の手間の削減や保険料コストの削減を目的に、一部の建設業者では作業員の保険加入を行わない事や、一部の者のみ加入させるという事が横行していることが背景にあります。

本件通達ではBPJS事務所は官公庁と連帯してBPJS加入状況のモニタリングを継続して行う旨の記載があり、今後、建設業者や企業で就労する外国人を中心に加入状況の確認・監査などが行われる可能性があり注意が必要です。

2022年2月25日付け通達・アナウンスでBPJS Ketenagakerjaan(労働社会保険)のJP(年金)の給付額と保険料計算の基礎となる計算上の賃金額上限を改訂しております(B/2531/022022等)。

改訂は下記の通りです。

給付額

最低給付額月額363,300IDR ― 最高給付額月額4,357,900IDR

(従前:356,600IDR ― 4,277,900IDR)

保険料計算の基礎となる計算上の賃金上限額

9,077,600IDR(従前8,754,600IDR)

上記の改訂は2022年3月より施行されます。

従前の年金給付額・保険料の改定は「インドネシア・BPJS(強制保険)事務局からの通知について」を御確認下さい。

2022年の州の最低賃金は法律に基づきが決定されましたが、ジャカルタ首都特別州においては州知事決定において、最低賃金が改定されています。

オムニバス法等の法律においては、州の最低賃金は州ごとに当該年度の経済成長率とインフレ率を根拠に計算式によって自動算出されます。しかしながら、2021年12月16日付のジャカルタ首都特別州知事決定2021年1517号において、2022年の最低賃金を4,641,854IDRと定めました(5.11%Up)。上昇率の根拠としては、実質GDP成長率(3.51%)と全国のインフレ率(1.6%)を足した数値となっており、オムニバス法以前の改定前法令による算出となっています。

従前、0.85%の上昇率であった最低賃金から州知事決定で改訂したことについて、インドネシア経営者協会は行政訴訟の提訴、内務省に対して知事の処罰の要求、労働省に対して知事の処罰要求、各経営者へ判決が出るまで州知事決定の適用の回避を呼び掛けています。

州知事決定の後、BPJS(政府管掌の社会保険)システムの最低賃金が上記同額の4,641,854IDRに設定され、各加入登録企業へ通知されています(通知24774/IV-02/122号)。このため、企業としては州知事決定に従わざるを得ない状況となっております。

また、州政府は州政府労働移住エネルギー局合同で上記最低賃金の適用除外が申請可能である決定を行っています。対象となるのは2020年以降コロナウィルス感染拡大により大きなダメージを受けた企業が対象となっており、1月20日までに州政府への真正が必要となります。

また、ジャカルタ州知事決定に伴い、他の州が追随する可能性もあり、2022年1月以降の最低賃金については、アップデートが必要があります。

2022年の州の最低賃金が決定されました。オムニバス法と細則により、最低賃金の計算は各州ごとに経済成長率とインフレ率を根拠に計算式によって自動算出されます。

主な州の最低賃金

主な州の最低賃金は下記の通りです。

ジャカルタ首都特別州4,453,936IDR州知事決定1395号
バンテン州2,501,204IDR州知事決定561号
西ジャワ州1,841,488IDR州知事決定561号
中部ジャワ州1,812,936IDR州知事決定561号
東ジャワ州1,891,568IDR州知事決定183号

主な県・市の最低賃金

上記州の最低賃金の他に、市・県による最低賃金が決定されます。県・市で最低賃金が設定される場合とは、過去3年の県・市の経済成長率平均値が州の経済成長率を上回る場合、県・市の経済成長率からインフレ率を引いた値が直近過去3年連続でプラスとなっていて、かつ州の値を上回っている場合には、各県・市の最低賃金が設定されます。

主な県・市の最低賃金は下記の通りです。

西ジャワ州

ブカシ市4,816,921IDR
カラワン県4,798,312IDR
デポック市4,377,231IDR
ボゴール県4,217,206IDR
ボゴール市4,330,249IDR
バンドン市3,774,860IDR

中部ジャワ州

スマラン市2,835,021IDR

東ジャワ州

スラバヤ市4,375,479IDR

2021年度はコロナウィルス蔓延に伴い2020年度の最低賃金を条件付きで維持できることとなっておりましたが、2022年度において同様の措置は取られていません。ですので、2022年1月以降は上記最低賃金を準拠する必要があります。

また、ジャカルタ首都特別州においては規定により県・市の最低賃金は設定されておりませんが、州知事が中央政府へ再考を促す書簡を送付していることや、労働組合連合が各地でデモを行っております。オムニバス法(雇用創出法)の違憲判決など労働組合に有利な交渉材料が多いことから、政府による修正が行われる可能性がありますので、御注意下さい。

2021年11月25日インドネシア憲法裁判所は、2020年に施行されたオムニバス法(雇用創出法:2020年法令11号)が違憲である判決をしました。

判決理由としては、手続き的理由が大きな理由となっています。判決内で指摘されている点としては、1 新法か改正法であるかが不明瞭である点、2 オムニバス法が可決されるまで幾度となく加筆・修正がなされたものの議論・周知が不十分であること、3 法令内の誤植・誤字が多く国会可決後に修正がされていること、これらが違憲判断の理由となっています。

憲法裁判所は違憲判決に伴い、2年以内の是正を命令し、是正が無い場合には無効という条件付き無効としています。また、是正がされるまでは施行規則の公布を禁止するとしています。

政府は司法の判断に従い是正する旨、外国からの投資については影響がない旨をプレスを通じて発表しています。企業法務実務の観点からは、本判決が条件付きの無効であることから、少なくともの2年の間においては既存のオムニバス法が有効のものとして取り扱われることもあり、判決に伴う即時の大きな影響は少ないと思われます。

違憲判決を経て国会は、2022年審議法案を承認しました。オムニバス法は臨時法案リストに入っており、2022年の国会審議が予定されています。また、審議予定の法案には法律作成法案、禁酒法案、刑法改正案、民訴法改正案、個人情報保護法案、電子情報・取引法改正法案など注目の法案審議が含まれています。

国会の審議も含めて今後の動向には注目する必要があります。

2022年の州の最低賃金は11月内にも決定される予定となっています。労働組合の主張では7%から11%のアップを主張していますが、全体で1-2%程度の上昇率に決着する見込みです。

オムニバス法と細則により、最低賃金の計算は各州ごとに経済成長率とインフレ率を根拠に計算式によって自動算出されます。11月15日付での労働省による見込計算の発表においては、ジャカルタで0.85%、西ジャワで1.72%、バンテンで1.63%、インドネシア全体でも1.08-1.16%程度の予想となっており、近年5-8%前後で推移していたことを鑑みると低い上昇率となる予定です。

正式には、週による決定が11月21日、県・市の発表が30日となっており今月末までには各州の最低賃金が発表される予定です。

2020年に施行されたオムニバス法(雇用創出法)に伴う法務省規則・政府規則が改定され零細企業・中小企業・個人事業主に関する規定が新設されています。2021年政府規則8号、法務人権省規則21号では、零細企業・中小企業については下記の様に規定しています。

零細企業(マイクロビジネス)

土地と建物を除いた事業資本最大1,000,000,000IDRまたは年間セールス最大2,000,000,000IDRの企業

中小企業

土地と建物を除いた事業資本が1,000,000,000IDRから5,000,000,000IDRまでの企業または年間セールス2,000,000,000IDRから5,000,000,000IDRの企業

上記の事業体は登記することで、会社取締役・株主1名で会社として設立が認められます(インドネシア国籍の者のみ)。また、会計期終了後には6か月以内に財務諸表の提出や、上記基準を超えていないことを報告する義務があります。

本法令規則は、コロナウィルスによる経済的打撃を受けた個人への景気刺激策として期待されています。

これまで、個人事業主は会社登記が無いことを理由にビジネスをしにくい状況となっていました。しかしながら、本法令規則によりインドネシア人1名で事業体を構成できることとなったことから、会社としての登記がしやすくなります。事業の登記があることで、新たな事業・ビジネス開始のための銀行や金融機関からの借り入れなどを促進し経済活性化に寄与すると政府は本法令規則の効果に期待しています。