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2019年10月18日付公布通信情報省大臣令第11号により、インドネシアの携帯電話に関する新たな規制が創設された。下記では、新大臣令と共に携帯電話通信規制の概要をまとめる。

インドネシアの携帯電話SIMカード発行枚数(回線数)は、インドネシアの人口数を優に超えて3億5千万枚以上が発行され、そのうちの98%がプリペイド方式SIMとなっている。

増え続けるSIM発行枚数と電話番号の枯渇への対策と、本人確認が出来ていないプリペイド方式携帯電話が犯罪に使われることの抑止、通信の安全を確保するため、2017年情報通信省大臣令14号、同21号では、2017年10月から既存回線を含めた通信会社プロバイダー契約に、身分証(KTP:国民ID)やパスポートでの本人確認の再登録を課して規制の強化し、翌年2018年2月までに再登録を行わない場合には、段階的な回線の切断を行っている。回線制限の方法は携帯電話会社にもよるものの一般的には、発信制限、受信制限、通信制限と順に使用制限を課し、再登録を行わない場合には登録が抹消される。大手通信会社では、外国人によるプリペイド契約の場合には、半年ごとの再登録を課しているプロバイダもある。また、法令では1人3回線までを上限登録としている。

現在、インドネシアでは通信情報省主導で携帯電話会社同士の合併を促進している。その結果、当初10社以上あった携帯電話会社は、半数以下となり大手4社(Telcomsel,Indosat,Tri, XLAxiata)で95%以上のシェアを占めるようになっている。この成果もあってか近年では政府中央による通信情報管理が容易となり、人権団体からの批判はあるものの『誤った情報の拡散防止』という目的で、デモ地域における携帯電話回線の一斉遮断を行うなど、携帯電話通信への政府の関与が強まりつつある。

新大臣令では、各通信機器本体に付与されているIMEI(International Mobile Equipment Identity :識別番号、シリアル番号)の登録義務を携帯電話会社に課している。また、携帯電話使用者(エンドユーザー)に対してIMEIを携帯電話会社カスタマーサービス等を通じて登録させる義務を課している。上記のような通信(回線)規制と共に、違法な携帯電話機器の使用を制限する目的で、新大臣令においては通信機器本体のIMEIに登録義務を課すことで使用制限をかけることができるものとなっている(いわゆる未登録機や盗難機にはシムロックをかけることを可能にしている。)。

本大臣令によりIMEI登録を通じて通信端末管理が可能となり、前述法令と共に使用者・回線・端末を紐付けることが可能となる。本大臣令は公布後6か月以降に施行となっており、2020年4月以降の実務運用・携帯電話会社からのアナウンス・細則・通信会社約款変更などには注意する必要がある。

なお、2019年9月以降のデモのトピックスとなっている刑法改正案では不敬罪など表現内容への新制限事項も含まれているおり、上記法令規則による通信の自由と共に、インドネシアにおける『表現の自由』全般の動向について、今後も注視していく必要がある。

2019年10月8日付労働大臣規則18号が同日施行され、労働省が管轄する許可を発行する際には、対象者の税務状況の確認を行う事が規定されました。

労働省が管轄する下記6種のケース(許認可発行や状況)においては、許認可発行に先立って税務状況の確認がなされます。

  • SIP3MI, 従業員の外国就労許可
  • RPTKA, :外国人雇用計画書許可
  • SIU-LPTKS Lintas Provinsi, 国内アウトソーシング許可
  • Izin Penyelenggaraan Pemagangan di Luar Negeri, 国外インターンシップ許可
  • PJK3, 労働安全衛生に関して労働局が関わる場合
  • Lembaga Audit SMK3 労働省による安全衛生監査の場合

上記6種の中で、外国人・外資企業にとって、特に影響が出る可能性があるものとしては、RPTKAの発行です。

RPTKA(外国人雇用計画書)は、外国人の就業許可(旧IMTA/Notifikasi)、滞在許可(ITAS)の前提となる許可となり、RPTKAの発行がされない場合は外国人VISAの取得・更新が出来ません。

税務状況の確認は、労働省システムと税務署システムとの連動によって行われます。税務署システムでKSWP(Keterangan Status Wajib Pajak:納税者ステータスの情報)が確認され、税務問題の有無が判断されます。外国人個人でも、過去の税務申告が未申告だった場合や未納税・納税不足がある場合には、納税者ステータスに問題があると判断され、システムがブロックされます。

税務問題の有無は、少なくとも直近過去2年で確認・判断され、税務問題が生じシステムブロックがされている場合には、先に税務問題を解決しなければRPTKAの発行がされず、VISAの更新に遅延が発生する可能性があります。

対策としては、現状の駐在員の年次税務申告が適正に行われているかという確認と、新たに外国人を採用する場合には(特にインドネシア国内での転職者採用の場合)、過去の納税申告が適正されているかの確認を先んじて行う事を推奨いたします。

2018年7月より運用が開始している登記システム(OSS: Online Single Submission)ですが、現在までにPT(株式会社)、KP3A(商業省管轄外国会社駐在員事務所)BUJKA(建設駐在員事務所)と対象が広がっております。また各許認可の発行や、他のシステム(税務署納税申告電子システムや法務省登記システム)との接続も開始しております。

2019年10月25日付BKPM(投資調整庁)発表 第17号A.8/2019では、2019年10月30日をもってKPPA(外国駐在員事務所)許可についてもOSSに統合することをが案内されております。

これまでKPPA許可(駐在員事務所の新規開設・更新・登記変更)はBKPMシステムによって管理され、申請や許可発行等もされてきました。しかし、BKPMシステムによるKPPA許可の新規発行・更新・登記変更は2019年10月30日23:59で運用を停止し、2019年11月4日からはOSSにて申請・許認可発行がなされることとなりました。

KPPA許可は、その他の許可や駐在員事務所所長VISAの基礎となる許可となります。登記システムの新運用開始によって、開始当初はアクセス過多による障害や混乱が予想されます。駐在員事務所許可の更新手続きが直近で控えている場合や、駐在員事務所所属の外国人の方のVISA/ITASの手続きのスケジュールなどについては、あらかじめ余裕をもって手続きを行っていただくようご注意いただく必要があります。

2019年大統領令63号が2019年9月30日付で公布施行され、インドネシア語使用義務の詳細が改訂されております。法令において『外国語』には外国語(英語や日本語など)のほか、地方言語(Jawa語やBali語など)も含まれており、インドネシア語使用義務がある場合には地方言語も利用が出来ません。本大統領令では、種類別に分けられてインドネシア語使用義務が規定されており、下記では概要を御案内いたします。

建物名(ビル・アパートメント・ホテル・商業施設・工場・空港・駅・スポーツ施設・ターミナル・病院など、建物全般):33条

インドネシア人・インドネシア法人が所有する建物に関しては、原則として名称にインドネシア語の使用義務がある。一方で歴史的価値・風習・宗教的価値などが認められる場合には例外として外国語の使用が認められる。

会社名(PT /CVなど):36条

新たに設立する場合で全株主がインドネシア人/インドネシア法人の場合にはインドネシア語を用いなければならない。

学校名:37条

原則として新たに開校する場合はインドネシア語使用義務があるが、外国教育法人の関与がある場合や歴史や宗教的価値がある名前の場合には外国語の使用を認める。

インドネシア国内での論文執筆・出版:31条

インドネシア国内での論文執筆・出版は電子的な方法を含み原則としてインドネシア語使用を義務とし、言語教育や特別な研究の場合で一部でインドネシア語部を含む場合には外国語の使用を認める。

商標名:35条

原則、インドネシア人またはインドネシア法人が所有する商標名にはインドネシア語を使用しなければならない。例外として外国のライセンス(証憑)等の場合にはインドネシア語使用義務を免除され、商標に歴史的・文化的・宗教的が価値があるには外国語使用が認められる。

本大統領では、上記のほかにも、良いインドネシア語を正しく使う事の訓示規定から、政府書面言語、国内外での公式スピーチ言語、教育言語など幅広く規定がされています。本大統領令施行による実務への影響は各個別法令との関係も踏まえたうえで、今後の状況を注視していく必要があります。

2019年大統領令63号が2019年9月30日付で公布施行され、契約における言語規定部分が改訂されております。

インドネシアにおいては2009年24号法律 国旗・言語・国歌に関する法令(以下、言語法)によってインドネシア語使用義務が定められておりますが、同法40条においては『26条から39条(言語に関する規定)の詳細は大統領令で定める』と規定されており、本大統領令はこの法律に基づく規定となります。なお、本大統領令によって従前の2010年16号大統領令(以下、旧大統領令)は失効しております。

契約実務においては、これまで旧大統領令と言語法の文言に『優先言語条項』の直接規定が無く、契約書や覚書の締結において2言語以上で契約書を作成した場合(インドネシア語+英語/日本語など)に、優先言語条項(:2言語の訳に齟齬がある場合、英語や日本語をインドネシア語より優先するという条項)が有効であるか否かという点には、直接規定が無く法解釈によって補完されてきました。

本大統領令においては26条2-4項において外国語を優先言語とすること認める条文が新たに設けられております。

一方でインドネシア政府や州の書面や登記等係る書面について(例えば公証人認証の売買証書や決定書など)は、インドネシア語以外に外国語訳を作っても、インドネシア語が優先されます(本大統領令4条6項)。

上記を踏まえて引き続き、インドネシアで契約書や覚書を作成する場合には、両当事者の国籍を加味したうえで、使用言語・準拠法・裁判管轄なども含めたうえで慎重に検討する必要があります。

2019年9月5日付の財務省税務総局税務長官令599号(KEP-599/PJ/2019)によって、Jakarta市内を管轄する一部の税務署では、サービス取引源泉税の源泉徴収票の発行・送付が不要となりました。

インドネシアにおいては、国内・国外サービスの提供を受けた者が支払う対価には、取引源泉税としてPPH23やPPH26を源泉して支払った後、源泉徴収票を相手方に交付(送付)する義務があります。

新法令においては、源泉を行う者(対価を支払う者)がJakarta市内の該当税務署に所在している場合、源泉徴収票の交付を免除し、税務署システムを通じて相手方がダウンロードできるものとなっております。

新法令は10月度より開始となっております。

実務上の影響としては、源泉徴収票発行実務だけでなく、年次法人税の計算にも影響が出ると思われます。

一般的に年次法人税の計算の際には、取引相手方(セールスの相手方:クライアント)から源泉されて対価を受け取った際の源泉徴収票の収集に、かなりの時間が割かれておりました。新法令により、サービス提供者は直接、税務署システムから源泉徴収票をダウンロードできることとなり、相手方の対応(源泉徴収票の発行や送付)を待たずに、法人税計算を進められることとなります。

なお、引き続きPPH4-2(賃料等の取引源泉)などの、その他の源泉税においては、これまで通りの運用となっております。また、上記運用はJakarta市内の一部税務署にとどまっており、源泉する者(対価を支払う者:クライアント)が対象税務署以外の管轄の場合には、これまで通り源泉徴収票の送付が必要となります。

2019年7月29日付の投資調整庁規則2019年5号によって、外資企業の資本金規定が再定義されています。同規則は2018年6号規定を改正する形で公布されており、主たる改正は、OSS(オンラインシングルサブミッション)への移行規定となっております。

同規則に基づく外資企業の資本金について、大きな規則変更・運用変更はありません。同規則での外資一般企業の資本金規定(サマリー)は、下記の通りです。

  • 設立時の外資企業の授権資本/投資額は100憶ルピアを超えることが必要。
  • 100憶ルピアの内、25億ルピアを上回る払込資本が必要。
  • その後、100億ルピアの払込資本金の無いまま、Izin Usaha(事業許可)を取得する場合には、1年以内に、100憶ルピアの純資産、または500億ルピアのセールス(/1年)が必要。

これらを満たさない場合、BKPMからの指導等が行われる可能性があります。

なお、業種によっては個別法令で100憶ルピアを超える払込資本金規定が設定されている場合がありますので、御注意下さい。

2019年8月27日付労働大臣決定228号が公布され、外国人が企業等で就任できる役職についての一覧の改定がされております。

インドネシアでは、外国人が就任できる役職が上記決定等によって労働省によって決定されております。新しく駐在員の方が赴任される際には、事前に役職を申請の上、労働省からの承認を経て赴任が可能となります。

従前は各業種ごとに法令・規則・決定によって外国人の就任可能役職が定められていましたが、今回の決定により就任可能役職が一元化されました。本決定では事業目的・業種ごとに18の業種に分けたうえで、各業種で就任可能な役職を規定しています。今回の決定をもって、それまで根拠となっていた2011年から業種ごとに別法令で定められていた外国人の役職規定については全て破棄されています。

本決定を施行するにあたっては、労働省が日本人会やその他団体に対して事前に意見公募(パブリックコメント)を実施しており、実務上、大きな変更はないと思われますが、今後の動向には、引き続き注意する必要があります。

インドネシアで物品を購入する際には、10%のVAT(付加価値税)が商品代金に上乗せされて支払うこととなりますが、短期観光の外国人については、各種条件を満たしたうえで支払ったVATの還付を受けることが出来ます。

2019年8月23日付財務大臣規則120号では、VAT還付についての詳細規則が規定・改定されました。規則では、還付の方法のプロセスなどが規定されております。

本規則は2019年10月1日施行開始で、還付については500,000IDR以上のVAT額であること、出国前1ヶ月以内の購入であること、滞在期間が60日以内の外国人であること、購入時に店舗発行の特別税額票を受領していること、還付申請は所定の空港に設置されている窓口でパスポートと航空券と共に申請を行うこと、還付額が5,000,000IDR以下の場合には申請窓口で現金により返金、5,000,000IDRを超える還付申請の場合には口座送金となること、などが記載されております。

現状、還付申請の窓口は、ジャカルタ スカルノ・ハッタ国際空港をはじめ、メダン、ジョグジャカルタ、スラバヤ、バリの空港内に設置されています。

建設駐在員事務所・外資建設企業に関する規則、公共事業大臣規則No.9/PRT/M/2019が6月12日付で改正されています。新規定では下記2点を除き、旧規則と実務運用を明文化しており、各種許認可取得実務上の大幅な変更点はありません。

旧規則からの変更点は下記の通りです。

建設駐在員事務所 所長について

  • 原則、インドネシア国籍の者を所長とすること。
  • インドネシア国籍の者を所長とすることが困難な場合には、外国人を所長として、技術責任者としてインドネシア人を任命すること。
  • 所長・技術責任者は、他の建設企業での取締役・コミサリス・建設駐在員事務所所長・建設駐在員事務所技術責任者を兼任してはならない

登記のOSSの利用について

  • 建設駐在員事務所許可の申請は、PU(公共事業省)からOSS(オンラインシングルサブミッション:統一登記システム)へ移管する。
  • OSS登録、NIB登記、建設駐在員事務所許可取得(Non Active)、コミットメントの履行、コミットメント履行確認、手数料支払いを経て、建設駐在員事務所許可が有効かされる。

OSSの導入により既に許可を取得している企業の更新(3年毎)もOSSへ移管されております。既に取得されている許可は期限までは有効となりますが、登記変更等がある場合には、OSSの登録を経て、OSSを通じた登記変更申請が必要となります。

また、OSSとPUのシステムが既に連動しており、コミットメントを有効期間内に履行していない場合や、コミットメント履行期限が切れた場合、年次申告書の未提出や手数料の未払いがある場合、建設駐在員事務所許可の取消がなされる場合があります。

BKPM(投資調整庁)がOSS(統一登記システム)を導入して以降、各対象企業によるBKPMへの問い合わせ・質問が増えております。それに伴い、7月18日付投資調整庁通知No.11/Pengumuman/A.8/2019が発行されております。サマリーは下記の通りです。

これまでBKPM本庁(Jl. Gatot Subroto)では、常に5名以上の担当官を相談担当として窓口対応を行っておりましたが、1日に対応できる件数は300件程度となっておりました。2019年6月においても、早朝4時からBKPM本庁前に長蛇の列が出来るなどの支障が出ており、それらを解消するために、相談については事前予約なしの相談業務を取りやめ、7月22日以降、全ての相談業務は予約制へと移行することになりました。

相談予約はwww.investindonesia.go.idから事前の質問内容や会社名、連絡先を入力の上、応募・送信し、返信されるメールに相談日時と時間帯が記載されており、その時間帯にBKPMへ訪問し番号カードを取得することで、質問を行う事が可能となります。