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インドネシア・オムニバス法(雇用創出法)の国会可決と経緯

2020年10月5日インドネシア国会は、オムニバス法を可決しました。オムニバス法では各分野の法令について、横断的に1つの法律で策定することで新たな雇用と投資を生むことを目的としています。

主としてビジネス許可取得などの要件の明確化と簡素化、投資条件、雇用、中小企業保護、ビジネス環境、研究開発、行政、制裁、土地、政府投資プロジェクト、経済などの各項目について横断的に新たに規定を行うものとなっています。

オムニバス法は大統領が表明してから議論がされてきました。特に昨年2019年から今年2020年にかけて法案ドラフトが公開されてからは、経営者からは迎合的に受け入れられる反面、労働者団体からは強い反発がされていました。

2020年に入り、政府は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で落ち込んだ経済に対して、景気刺激策として法律の可決を急ぎ、10月5日に国会可決となりました。当初10月8日に可決を行う予定であったものの、労働者団体からのデモ予告を受け10月5日に前倒しの上で可決となりました。

労働者団体からは、労働者へ不利な条項があり反発していたこともあり、コロナ禍での審議不十分という理由や、デモの状況を鑑みての前倒し可決という政府の態度に反発して現在までデモ・抗議活動が続いています。

また、現在までにオムニバス法の大統領署名は行われておらず、法令上3か月以内の詳細規則の策定も進んでいません。報道では少なくとも5草案以上の法案が公開されています。各草案では加筆修正削除などが行われており、800ページのものから1000ページ以上にわたるものまで、各種記載が異なっています。これを受け、一部法律家からは国会通過後に恣意的変更が行われている可能性があり、法律が国民の代表である国会のコントロールを受けていないという理由から法令自体が無効であるという主張もされています。

現在、新法令に伴う運用は開始されておらず、各分野、旧法令化での運用が続いています。

新法律が施行されると、外資企業にとっては、ビジネスライセンス、投資法、会社法、雇用、環境、税の部分は大きく影響を受ける可能性があります。また、外国人駐在員の雇用や税についても、現在公開されている法令案では規定されています。今後、記載による変更と施行状況については、注視する必要があります。