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インドネシア・国民住宅貯蓄基金への加入の義務化

2020年5月20日付政令25号によって、国民住宅貯蓄基金(Tabugan Perumahan Rakyat : Tapera)への加入が義務付けられました。従前は公務員住宅預金基金制度として運用されており、民間企業従業員への加入義務はありませんでした。本政令では、対象を民間労働者まで広げ、6か月以上就業する外国人労働者へも対象を広げています。

新政令では、加入登録は7年以内に加入する義務があります。制度は、いわゆる積立式の銀行の運用による基金のようなものとなっており、制度概要は下記の通りです。

積立金額は賃金の3%で雇用者が0.5%、労働者が2.5%を負担する。

月次で毎月、翌月10日までに積立保管銀行の専用口座へ納付する。

加入義務者は20歳以上の者、または既婚者を対象とする。

加入が終了した場合(定年など)、積立金は運用成果と共に払い戻しを受ける。

12か月以上の加入者で、低所得者で、初回の場合に限って、基金を利用して住宅の建設、改修、所有などの融資を受けることが出来る。

雇用者である企業は、労働者(従業員)を加入者として登録する義務を有し、給与控除による積立金の徴収、翌月10日までに雇用者負担分と共に積立金の支払い、加入労働者のリストやデータ更新と保管義務付けられます。

雇用者が加入や徴収金の不払・遅延などを行った場合、書面警告や月0.1%の過料、事業許可の停止・取り消しなどの処分が課されます。

加入者には加入者番号などのIDが付与され、各加入者は運用情報・運用成果情報と共に終了時には払い戻しを受けることが出来るものとなっています。

本制度は完全に義務化されるまで7年の猶予を設けており、法令運用をどのように行うかは今後の動向を注視する必要があります。