中国

中国越境EC、B to B 輸出の税関制度

越境ECでは国内消費を促進する個人輸入(B to C)のほか、対外貿易を拡大するための輸出(B to B)の関連制度の整備も進められようとしています。

中国の越境ECは国内消費促進のための輸入小売りについては既に各種制度環境の整備が進められていますが、一方で、BtoB輸出も今後の対外貿易の活路として期待されています。今年の広州交易会は完全オンライン展示会として話題になりましたが、商務部の発表では2.5万社が会期前のオンライン研修に参加した上で順調に出展したと報道されていました。今後、これらのサプライヤーもスムーズに越境ECで輸出できるよう、輸入の電子商務と同様に、税関・外貨・税務制度環境を整備する必要があります。

越境EC BtoB輸出の定義:国内企業(サプライヤー)が越境物流を介して貨物を国外企業或いは海外倉庫に輸出し、且つ、越境ECプラットフォームを通じて取引を完成する貿易形式をいいます。

越境ECプラットフォームの定義:取引参加者にオンライン上で経営場所、取引規則、情報掲載等のサービスを提供し、双方の取引に必要な情報ネットワークシステムを構築して提供する。自社のプラットフォームの場合と、第三者のためのプラットフォームがある。また、国内企業によるものと国外企業によるものがある。

税関制度

試行地域を指定

北京、天津、南京、杭州、寧波、厦門、鄭州、広州、深セン、黄埔税関を越境ECのBtoB輸出試行地税関として指定し、試行経験を蓄積して全国の税関に普及させる計画です。

通関時の貿易方式

①直接輸出:国内サプライヤーが越境ECプラットフォームを通じて国外企業と取引成約後、貨物を中国国内から直接国外企業に輸出しバイヤーに納品する方法。
通関時の貿易方式:9710
②国内サプライヤーがまず輸出貨物を海外倉庫に輸出した後、越境ECプラットフォームで成約した貨物を海外倉庫からバイヤーに納品する方法。通関時の貿易方式:9810

税関登録等が必要

越境EC企業(国内サプライヤー)、及び越境ECプラットフォーム企業、物流企業など、越境BtoB輸出業務に携わる中国国内企業は、所在地の税関にて登録が必要。

更に、海外倉庫への輸出業務を行う越境EC企業は海外倉庫輸出業務モデルを備案(=届け出)*1する必要があります。

越境EC輸出通関申告

出荷1インボイス当たり5,000人民元以下で且つ検査・税金手続きが不要な貨物は、税関の越境ECシステムを通じたリスト方式(複数出荷を1申告で行う集中申告方式)での申告が可能。

総合試験区にて越境EC輸出通関を行い且つ税還付不要の場合、6桁HSコードによる簡易申告が可能。

越境EC輸出貨物は、通常貨物輸出通関である“全国通関一体化”システムでもよく、“越境EC”モデルによる通関でもよい。企業が自ら選択できる。

越境EC輸出貨物は検査が必要な場合、越境EC企業或いはその代理人、作業場所経営者等により税関の検査に協力する。税関が検査を実施する場合、越境EC BtoB輸出貨物は、他の貨物より優先して検査することができる。

(注釈)
海外倉庫輸出業務モデル備案:
越境EC企業は海外倉庫輸出業務モデルを備案する際、すでに税関登録を行い、且つ税関の企業信用等級が一般信用以上である必要があります。
所在地の税関に以下の資料を提出します。
①《越境EC海外倉庫輸出企業備案登記表》及び《越境EC海外倉庫情報登記表》一式一部。
②海外倉庫証明資料。海外倉庫の所有権証書若しくは賃貸契約書。その他海外倉庫の使用許可証明資料。
③企業の営業許可証コピー。
④その他税関の必要とする資料。