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インドネシア・契約書面における使用言語について

2019年大統領令63号が2019年9月30日付で公布施行され、契約における言語規定部分が改訂されております。

インドネシアにおいては2009年24号法律 国旗・言語・国歌に関する法令(以下、言語法)によってインドネシア語使用義務が定められておりますが、同法40条においては『26条から39条(言語に関する規定)の詳細は大統領令で定める』と規定されており、本大統領令はこの法律に基づく規定となります。なお、本大統領令によって従前の2010年16号大統領令(以下、旧大統領令)は失効しております。

契約実務においては、これまで旧大統領令と言語法の文言に『優先言語条項』の直接規定が無く、契約書や覚書の締結において2言語以上で契約書を作成した場合(インドネシア語+英語/日本語など)に、優先言語条項(:2言語の訳に齟齬がある場合、英語や日本語をインドネシア語より優先するという条項)が有効であるか否かという点には、直接規定が無く法解釈によって補完されてきました。

本大統領令においては26条2-4項において外国語を優先言語とすること認める条文が新たに設けられております。

一方でインドネシア政府や州の書面や登記等係る書面について(例えば公証人認証の売買証書や決定書など)は、インドネシア語以外に外国語訳を作っても、インドネシア語が優先されます(本大統領令4条6項)。

上記を踏まえて引き続き、インドネシアで契約書や覚書を作成する場合には、両当事者の国籍を加味したうえで、使用言語・準拠法・裁判管轄なども含めたうえで慎重に検討する必要があります。