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[全訳] 中国・個人所得税源泉徴収・申告管理方法(試行)の公布に関する公告

国家税務総局
『個人所得税源泉徴収・申告管理方法(試行)』の公布に関する公告
国家税務総局公告2018年第61号

新たに改正した「中華人民共和国個人所得税法」及びその実施条例を徹底して実施するため、国家税務総局は《個人所得税源泉徴収・申告管理弁法(試行)》を制定しここに公布し、2019年1月1日から施行する。

特にここに公告する。

添付書類:個人所得税税率表及び予納税率表 [1]

国家税務総局
2018年12月21日


個人所得税源泉徴収・申告管理弁法(試行)

第一条

個人所得税の源泉徴収・申告行為を規範化し、納税者と源泉徴収義務者の合法的な権益を守るため、「中華人民共和国個人所得税法」及びその実施条例、「中華人民共和国税収徴収管理法」及びその実施細則等の法律法規に従って本法を制定する。

第二条

源泉徴収義務者とは、個人に所得を支給する事業体または個人をいう。源泉徴収義務者は法に従って全員全額の源泉徴収・申告を行うものとする。全員全額の源泉徴収・申告とは、源泉徴収義務者は税額を源泉徴収した翌月15日以内に主管税務機関に所得を支給したすべての個人の関連情報、支払所得額、控除項目と金額、源泉徴収税額の具体的な金額と総額、及びその他の税に係る情報・書類を提出するものとする。

第三条

源泉徴収義務者は毎月又は毎回見込徴収、代理徴収した税額を翌月15日までに国庫に納め、かつ、税務機関に「個人所得税源泉徴収申告表」を提出するものとする。

第四条

個人所得税の全員全額の源泉徴収・申告の対象となる課税所得は下記を含む。
(一)給与・賃金所得
(二)労務報酬所得
(三)原稿料所得
(四)ライセンス使用料所得
(五)利息、配当金、特別配当金
(六)財産賃貸所得
(七)財産譲渡所得
(八)一時所得

第五条

源泉徴収義務者は納税者への所得の初回支給時、納税者が提供する納税者識別番号等の基本的情報に基づき「個人所得税基礎情報表(A表)」に記入し、かつ、翌月源泉徴収申告する時に税務機関に提出するものとする。
源泉徴収義務者は納税者の基本的情報変更の報告を受けた場合、翌月源泉徴収・申告する時に税務機関に変更後の情報を提出するものとする。

第六条

源泉徴収義務者は居住者個人に給与・賃金所得を支給する時、累計予納徴収計算法によって税額を計算しかつ、毎月徴収・申告を行うものとする。
累計予納徴収計算法とは、源泉徴収義務者が1納税年度において税額を予納徴収する時、納税者が本事業体において当月まで取得した給与・賃金所得の累計額から、免税収入累計額、控除費用累計額、特別控除累計額、特別付加控除累計額と法により確定したその他の控除項目の累計額を差し引いた後の残高を、予納徴収課税所得額の累計額とし、個人所得税予納徴収税率表一(添付参照)を適用して予納徴収税額の累計額を計算し、更に減免税額累計額と予納徴収済み税額の累計額を差し引き、その残額を当期予納徴収すべき税額とする。残額がマイナスとなる場合、税額は暫時還付されず、納税年度終了時に残高が依然としてマイナスである場合、納税者は総合所得の年度確定申告を行い、過不足税額の清算を行うことができる。
具体的な計算式は以下の通りである。

当期予納徴収税額 = (予納徴収課税所得額の累計額×予納徴収率-速算控除額)-減免税累計額-予納徴収済税額の累計額

予納徴収課税所得額の累計額 = 収入累計額-免税収入累計額-控除費用累計額-特別控除項目累計額-特別付加控除項目累計額-法により確定したその他の控除項目の累計額

その内、控除費用累計額は5000元/月に納税者が当年度において本企業に当月まで勤務する月数を乗じて算出される。

第七条

居住者個人が源泉徴収義務者に関連の情報を提出しかつ法により特別付加控除を依頼する時、源泉徴収義務者は規定に従い給与・賃金所得の月毎の予納時に控除しなければならず、拒否してはならない。

第八条

源泉徴収義務者は居住者個人に労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得を支給する時、下記の方法によって都度あるいは月毎に予納するものとする。
労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得は収入から費用を差し引いた後の残額を収入額とする。その内、原稿料所得の収入額は70%に減額して計算する。
控除費用:労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得について1回の収入額が四千元を超えない場合、控除費用は八百元にて計算する。1回の収入額が四千元を超える場合、控除費用は20%で計算する。
課税所得額:労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得について1回の収入額を予納課税所得額とし、予納税額を計算する。労務報酬所得は「個人所得税予納税率表二」(添付参照)を適用し、原稿料所得とライセンス使用料所得は20%の予納税率を適用する。
居住者個人が総合所得の年度確定申告を行う時、法に従って労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得の収入額を算出し、総合所得の年度確定申告に組み入れて納付すべき税額を計算し、過不足税額の清算を行うものとする。

第九条

源泉徴収義務者は非居住者個人に給与・賃金所得、労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得を支給する時、下記の方法によって月毎或は都度、税額を源泉徴収納付するものとする。
非居住者個人の給与・賃金所得は、毎月の収入額から五千元の費用額控除後の残額を課税所得額とする。労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得は、1回の収入額を課税所得額とし、「個人所得税税率表三」(添付参照)に基づき納付税額を算出する。労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得は、収入から20%の費用額控除後の残額を収入額とする。その内、原稿料所得の収入額は70%に減額して計算される。
非居住者個人は1納税年度内において源泉徴収方法を変更せず、居住者個人の条件を満たした時に、源泉徴収義務者に基本的情報の変更状況を通知し、年度終了時居住者個人として確定申告を行うものとする。

第十条

源泉徴収義務者は利息、配当金、特別配当金、財産賃貸所得、財産譲渡所得または一時所得を支給する時、法に従って都度、あるいは月毎に税額を源泉徴収して納付するものとする。

第十一条

労務報酬所得、原稿料所得、ライセンス使用料所得が一回限りの収入である場合、当該収入を取得する都度1回として計算する。同一のプロジェクトから継続して取得する収入である場合、一ヶ月以内に取得する収入を1回として計算する。
財産賃貸所得は、一ヶ月以内に取得する収入を1回として計算する。
利息、配当金、特別配当金は、利息、配当金、特別配当金を取得する毎に1回とする。
一時所得は、毎回当該収入を取得する毎に1回とする。

第十二条

納税者が租税条約の待遇を享受する場合、課税所得を取得した時に自ら源泉徴収義務者に通知し、かつ、関連の情報と書類を提出するものとする。源泉徴収義務者は税額を源泉徴収納付する時、租税条約の関連規定に従い処理する。

第十三条

給与・賃金所得を支給する源泉徴収義務者は、年度終了後二ヶ月以内に納税者にその個人所得と源泉徴収納付済み税額等の情報を伝えるものとする。納税者が年度の中途に前述の情報が欲しい場合、源泉徴収義務者は提供しなければならない。
納税者が給与・賃金所得以外のその他の所得を取得した場合、源泉徴収義務者は税額を徴収した後、納税者にその個人所得と徴収済み税額等の情報を提供するものとする。

第十四条

源泉徴収義務者は納税者が提供する情報に基づき税額を計算し申告手続きを行い、納税者の提供した情報を勝手に変更してはならない。
源泉徴収義務者は納税者が提供する情報と実際の状況が一致しないことを発見した場合、納税者に対して、修正を要求することができ、源泉徴収義務者は税務機関に報告し、税務機関は速やかに処理するものとする。
納税者は源泉徴収義務者が提供し、あるいは申告した個人情報、支払所得、徴収税額等の情報が実際の状況と一致しないことを発見する場合、源泉徴収義務者に対して修正を要求することができる。源泉徴収義務者が修正を拒絶する場合、納税者は税務機関に報告し、税務機関は速やかに処理するものとする。

第十五条

源泉徴収義務者は規定に従い納税者が提供する「個人所得税特別付加控除情報表」を適切に保管するものとする。

第十六条

源泉徴収義務者は法に従って納税者が提供する特別付加控除等の税に係る情報と書類に対して秘密を保持するものとする。

第十七条

源泉徴収義務者が規定に従って徴収した税額に対して、毎年2%の手数料が還付される。税務機関、司法機関等から追納を要求され、あるいは追徴される税額を含まない。
源泉徴収義務者が受け取る還付手数料は、税務処理能力の向上や、税務担当者への奨励金に使用することができる。

第十八条

源泉徴収義務者は法により源泉徴収納付の義務を負い、納税者は拒否してはならない。納税者が拒否する場合、源泉徴収義務者は速やかに税務機関に報告するものとする。

第十九条

源泉徴収義務者が規定に沿って税務機関に書類と情報を提出せず、納税者の提供する情報に基づいて正しく申告せず、特別付加控除の虚偽申告、控除すべき税額の未控除、税額の未納付または過少納付、他人の身分の借用または詐称等の行為がある場合、「中華人民共和国税収徴収管理法」等の関連の法律、行政法規に従って処罰される。

第二十条

本法にいう関連表・証・票の書式については、国家税務総局より別途で作成しかつ発表する。

第二十一条

本法は2019年1月1日から施行する。「国家税務総局による『個人所得税全員全額徴収申告管理暫定方法』の公布に関する通知」(国税発[2005]205号)は同時に廃止する。

添付書類

個人所得税予納税率表一

(居住者個人の給与・賃金所得に適用)

段階 見込み徴収・納付の課税所得額の累計額 見込徴収率 (%) 速算控除額
1 36,000元以下 3 0
2 36,000元以上144,000元まで 10 2,520
3 144,000元以上300,000元まで 20 16,920
4 300,000元以上420,000元まで 25 31,920
5 420,000元以上660,000元まで 30 52,920
6 660,000元以上960,000元まで 35 85,920
7 960,000元以上 45 181,920

個人所得税予納税率表二

(居住者個人の労務報酬所得に適用)

段階 見込み徴収・納付の課税所得額 見込徴収率 (%) 速算控除額
1 20,000元以下 20 0
2 20,000元以上50,000元まで 30 2,000
3 50,000元以上 40 7,000

個人所得税税率表三

(非居住者個人の給与・賃金所得、労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得に適用)

段階 課税所得額 税率 (%) 速算控除額
1 3,000元以下 3 0
2 3,000元以上12,000元まで 10 210
3 12,000元以上25,000元まで 20 1,410
4 25,000元以上35,000元まで 25 2,660
5 35,000元以上55,000元まで 30 4,410
6 55,000元以上80,000元まで 35 7,160
7 80,000元以上 45 15,160