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CEPA(内地と香港の経済貿易緊密化協定)『貨物貿易協議』が締結、2019年1月より施行

1. CEPAの歩み

中国内地と香港とは、中国の初めてのFTAとして2003年より『内地と香港の経済貿易緊密化協定(CEPA)』を締結して以来、2013年までの間《(“~第10”)補充協議》により毎年、中国の市場開放及び貿易と投資に関する便利化を進めてきました。

2014年の協議(2015年3月施行)からネガティブリスト形式も取り入れ、新たに《内地広東と香港のサービス貿易自由化協議》(『広東協議』)により広東省における香港企業と香港人のサービス貿易の実施*1に対し全面自由化を開始しました。*2

その後CEPAはこの度締結された協議を含め、以下の4つの協議を包括する枠組みとなっています。

名称 締結日
サービス貿易協議 2015年11月27日
投資協議 2017年6月27日
経済技術合作協議 2017年6月28日
貨物貿易協議 2018年12月14日

*1:クロスボーダーサービス若しくは商業実態によるサービス貿易を含む。
*2: 2014年12月作成のCEPA(香港と広東のサービス貿易自由化)原稿をご参照ください。

2. 『貨物貿易協議』の内容

今回締結された『貨物貿易協議』では、中国内地で輸入禁止等規定される貨物を除き、香港原産の全ての貨物に対し0関税を実施するため、原産地標準が定められた貨物以外の貨物に適用できる原産地一般性基準を規定しました。またWTO規則に符合しない非関税障壁措置及び反ダンピング措置、反補助金措置を相互に実施しない、中国内地は香港からの輸入時、関税割当を実施しないとしています。

2.1 原産地規則

『貨物貿易協議』により、全ての香港原産貨物を内地への輸入時0関税の対象とするべく、施行日より原産地規則に、香港と他の地域間で適用されている付加価値規則が内地との間でも適用できることになりました。

従来の「製品毎に特定された原産地規則」の他、香港における付加価値比率計算を一般性原産地規則として取り入れ、現状「製品特定原産地規則」が設定されていない商品は一般性規則に符合すれば0関税で内地に輸入することができるとしています。製品特定原産地規則が制定されるのを待つ必要が無くなり、また生産技術は日々改善されることから特定標準に沿わなくなった場合等も一般性標準を適用することができるようになります。

付加価値の計算方法は以下の2種類で、いずれかを選択することができます。

(1) 積上法(原文:累加法/Build Up Method)

(2) 控除法(原文:扣減法/Build Down Method)

付加価値標準を適用する場合、区域価値比率が15%以上(積上法)或は20%以上(控除法)でなければならないとされています。

2.2 貿易便利化原則

『貨物貿易協議』は更に、通関手続措置、植物衛生措置及び技術性貿易障壁の3項目において内地全土と香港双方の合作強化を承諾しています。

2.3 粤港澳大湾区貿易便利化措置

香港は粤港澳大湾区を構成する一地域として、特に内地大湾区地域税関との合作を強化する方針が《貨物貿易協議》に反映されています。以下の貿易便利化を含んでいます。

(1) 珠江デルタ9都市におけるスピード通関方法を模索しその後海峡西岸地域と北部都市地域へ拡大する。
(2) ワンストップ通関インフラを促進し、情報互換制度を研究する。
(3) 内地と香港の通関貨物電子データフォーマット互換を探求する。
(4) 定期的に貨物の通関所要時間を公布し短縮を図る。
(5) 動植物及び動植物産品、食品及び薬品以外の低リスク貨物に対する検験検疫相互認証を促進する。
(6) 第三者機構の検験検疫結果が一定の商品と機構の範囲でスピード通関待遇を享受できるようにする。
(7) 内地の税関総署と香港側主管部門が協議一致の上で、内地の原料を香港で加工した食品について通関便利措置を与える。

2.4 《貨物貿易協議》は2019年1月1日より施行