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日本と中国の会計基準の相似点、相違点を比較解説するシリーズ第二回目の今回の論点は減損会計です。なお、文中の意見に関する部分は私見であることを予めお断り致します。

最初に日本の基準をもとに、固定資産の減損の基本的な考え方から論じたいと思います。事業用の固定資産は通常、市場平均を超える成果を期待して事業に投入されるため、市場の平均的な期待で決まる時価が変動しても、企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、また、投資自体も、投資の成果であるキャッシュ・フローが得られるまでは実現したものではありません。そのため、事業用の固定資産は取得原価から減価償却等を控除した金額で評価され、損益計算においては、そのような資産評価に基づく実現利益が計上されています。しかし、事業用の固定資産であっても、その収益性が当初の予想よりも低下し、資産の回収可能性を帳簿価額に反映させなければならない場合があります。そのような場合の固定資産の減損処理は、棚卸資産の評価減、固定資産の物理的な滅失による臨時損失や臨時償却などと同様に、事業用資産の過大な帳簿価額(資産の過大計上)を減額し、将来に損失を繰延(損失の先送り)ないために行われる会計処理とされています。そして、減損処理は、金融商品に適用されている時価評価とは異なり、資産価値の変動によって利益を測定することや、決算日における資産価値を貸借対照表に表示することを目的とするものではなく、取得原価基準の下で行われる帳簿価額の臨時的な減額であり、ここに減損処理の大きな特徴があります。(『固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書』、以下『意見書』)
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