香港

行政長官施政報告:減税措置・新展示会場施設・香港の経済発展を目指した科学技術革新

香港行政長官の林鄭月娥(Carrie Lam Cheng Yuet-ngor)は、本日(2017年10月11日)宣言した最初の施政報告の中で、香港経済の多角化を推進し、香港において更なる多くの機会を設けるための青写真を描いた。

林長官は、「香港政府は香港の自由市場経済の原則を維持しつつ、土地家屋の供給、人材、政府対政府の事業、政策の方向性、投資、事業活動に適した環境や税務を含む多方面において、我々の経済的活力を促進する役割を積極的に強化しなければならない」、と述べた。

林長官は、企業の負担を軽減するために、各企業の最初の2百万香港ドルまでの課税所得に対し適用する税率を、現在の標準税率の半分である8.25%まで引き下げる二層制の法人利得税システムを含む、新税務措置を宣言した。

林長官は、「この税制上の優遇措置が、中小企業を主な対象として恩恵をもたらすことを確かにするため、各企業グループが当該軽減税率の恩恵を受ける企業を1社のみ指定できる制限を、法令上設ける予定である」、と述べた。

林長官は、これは、「中小企業へ更に税金救済をもたらすものである」、と強調する。課税所得が2百万香港ドルを超える部分については、標準税率である16.5%のままで変わらない。その上、林行政長官は、適格研究開発費(research and development (R&D) expenditure)の最初の2百万香港ドルに対し、300%の損金算入額を認め、それを超える残りの支出に対しても200%の損金算入を享受できる措置も提案している。当該2つの構想を実施するための法案は、香港政府より出来るだけ早く、立法会に提出される予定である。

林長官は、会議及び展示会産業を、「国際商業貿易の中心である香港にとって、極めて重要な事業である」、と指定した。彼女はまた、国際基準の新しいコンベンションアンドエキシビジョンセンターを、湾仔の既存の香港コンベンションアンドエキシビジョンセンターが存在する場所の向かい側で、現在3つの政府関連の建物が占めるスペースに建設される旨に言及した。

隣接される施設の面積は、23,000平方メートルを占める予定である。さらに、MTR沙中線の展示会駅(Exhibition Station)上に新しいコンベンションセンターが建設される予定で、15,000平方メートルの会議及び展示会スペースが提供される。

湾仔運動場もまた、移設される場所の議論が満足のいく解決に至れば、会議及び展示会施設の発展に利用される予定である。

香港政府は、様々な用途のために土地の供給を増加していく予定で、来年には啓徳(Kai Tak)開発地区、廣深港高速鉄道のターミナル上のサイト及び中環(Central)の新海浜地区など、商業用サイトの販売開始を予定している。これらと他の用地を合わせて、約110万平方メートルの延床面積を追加提供することとなる。また、屯門(Tuen Mun)第49地区の約3.2ヘクタールの敷地が物流用に準備計画されている。

林長官は、香港が国家の「一帯一路」及び「粵港澳大灣地域開発」の機会を利用すると表明した。香港政府は、今年末までに、国家発展改革委員会との間で、香港の「一帯一路」プロジェクトへの参画に係る包括的合意を締結することを望んでいる。

林長官は、香港政府が「一帯一路」に対する人的資源を追加提供し、香港政府と香港貿易発展局が過去2年間共同して開催していた「一帯一路サミットフォーラム」が毎年のイベントになると付け加えた。

行政長官は、ベイエリア開発に関して、「産業の多様化、特に科学技術革新の促進に有利な条件を創出する」と述べた。 また、「香港人がベイエリアで学び、仕事をし、事業を立上げ運営し、退職し生活を全うして老後を過ごすためのさらなる円滑化を模索し、香港にとって質の高い生活環境」を作り出すと付け加えた。

林長官は、科学技術革新(innovation and technology (I&T))と創造的産業の発展のための条件を備えていることを挙げて、香港産業を多様化しながら発展させる必要性を強調した。特に、「香港は絶対的に、国際的な技術革新の拠点となる大きな可能性を秘めている」と述べた。これを実現するために、林長官は、「高いレベルで部門間に渡る、科学技術革新に関する運営委員会を個人的に先導する」と述べた。

香港政府は、現在の政府の5年間の任期満了までに、国内総生産のR&Dにおける国内総支出を年間約450億香港ドル(すなわち0.73%から1.5%)に倍増させるという目標を掲げている。加えて:

  • 大学の研究資金として100億香港ドル以上の資金を確保しており;
  • 創新及科技局は、5億香港ドルの「科学技術専門人材育成計画」の開始を予定し;
  • そして、

  • 教育局は、研究基金からの30億香港ドルの拠出を通じて、大学教育助成委員会が資金調達し、研究大学院プログラムに入学する地元学生に奨学金を提供する。

林長官は、科学、技術、工学及び数学(science, technology, engineering and mathematics (STEM) )の教育指導を強化に対しても、率先して措置を創設していくと語った。それらには、すべての小中学校の校長や教頭などの経営層と、中間管理職員の一連の訓練課程が含まれている。

香港政府は、スマートシティ・インフラストラクチャー・プロジェクトに7億香港ドルを投じる予定で、その中には、個人が官公庁や商業取引をオンラインで実施出来るようにする単一のデジタル身分証明書(eID)が含まれる。林長官は、スマートシティになるためには、「可能な限り広範囲で利用可能なユニバーサルなブロードバンドインフラ」が不可欠であると付け加えた。彼女は、電気通信会社が光ファイバーネットワークを田舎や遠隔地にまで拡張することを促進するよう、各社への金銭的インセンティブを提案した。

林長官は、香港の創造産業は、「経済を刺激し、価値を高め、香港をより魅力的な国際都市にする、エネルギッシュな業界」であると語った。彼女は、香港政府が設計産業及び創造産業の発展、特に若い才能の養成のための支援を強化するために、創造スマート・イニシアティブ計画に10億香港ドルを投入すると述べた。

香港において、人材を育成することは香港政府の最優先事項である、と林長官は強調した。彼女は、航空、海運、鉄道、金融、建設及び都市管理などの多方面の分野で、香港の訓練資源と政策措置を強化することを約束した。彼女は、人材訓練を促進し、他の場所から多くの才能を香港に引き付けるために、政務司司長が議長を務める人力資源規劃委員が設立されると述べた。

金融方面では、中国本土、一帯一路ライン並びに国際投資家が、香港の資本市場を通じてグリーン・プロジェクトへ資金を融資提供するよう、香港政府はグリーンボンド発行を計画している。

また、香港の地場機構が発行する国際基準のグリーンボンド認証制度を、香港政府が推進すると語った。

原文、2017年10月11日更新