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[中国会計税務レポ] 罰則 – 税金の徴収(4)

前回は納税人および源泉徴収義務者の納税義務違反に関する罰金の徴収について紹介しました。今回も引き続き、税収徴収管理法および同法実施細則における罰則規定を取り上げます。

1. 納税人および源泉徴収義務者の脱税、仮装、隠ぺい、納税回避など

  1. 納税人および源泉徴収義務者の脱税(注1)については、本税、延滞金を追徴したうえに、未納税額の50%以上5倍以下の加算税を課し、違反行為が重大で犯罪を構成する場合には、刑事責任を追及するとされています。
  2. 納税人および源泉徴収義務者が税額計算根拠をねつ造した場合には、5万元以下の罰金とし、納税人が納税申告を行わずに、税額の未納または過少納付を行った場合には、本税および延滞金を追徴するとともに、未納税額の50%以上5倍以下の罰金に処すとされています。
  3. 納税人が税金を納めず、財産の移転または隠ぺいという手段によって税務機関の税額追徴を妨害した場合には、税務機関は未納税額、延滞金を追徴するとともに、未納税額の50%以上5倍以下の罰金に処し、犯罪を構成する場合には、刑事責任を追及するとされています。
  4. 輸出の虚偽申告又はその他の虚偽の手段により、国家の輸出還付税額を詐取した場合(注2)、税務機関は詐取した還付税額を追徴するとともに、詐取した税額の1倍以上5倍以下の罰金に処し、犯罪を構成する場合には、刑事責任を追及するとされています。さらに一定期間輸出還付手続きを停止することができるとされています。
  5. 暴力、脅迫により納税を拒否することを「抗税」と称し、税務機関はその拒否税額と延滞金を追徴するほか、法に従い刑事責任を追及しますが、状況が軽微であり犯罪を構成しない場合には、納税拒否額の1倍以上5倍以下の罰金に処されます。
  6. 税務機関へ虚偽の資料を提供したり、資料の提供を拒否したり、税務調査を受けないなど税務機関の調査を妨害した場合には、税務機関は改善を命じ、1万元以下、違反状況が重大である場合には、1万元以上5万元以下の罰金に処されます。
  7. 税収徴収管理法の違反行為があり、税務機関が行う処分を拒否する場合には、税務機関はその発票を回収するまたは発票の販売を停止することができます(注3)。


(注1) 規定によると、◇記帳証憑を偽造、変造、隠ぺい、許可なく毀損(きそん)を行うこと◇帳簿上の支出の過大計上もしくは収益の未計上または過少計上すること◇税務機関からの申告通知を無視して申告を拒否すること◇虚偽の申告を行うこと◇納税額の未納もしくは過少納付すること――を脱税(中国語表記は「トウ税」、トウは愉のへんがにんべん)とみなすとしています。
(注2) 架空輸出などによる仕入増値税の不正還付。
(注3) 発票(取引が行われたことを証する税務証憑)は税務機関の管理の下で印刷し、販売されます。

2. 納税証明や増値税発票に関する違反行為

  1. 納税証明の違法な印刷、貸与、売却、変造あるいは偽造に対しては、税務機関は改正を命じ、2,000元以下、違反状況が重大である場合には2000元以上5万元以下の罰金に処することができます。
  2. 増値税専用発票を違法に印刷した場合、税務機関はその違法に印刷された発票を廃棄し、違法所得とその作成に使用した道具を没収し1万元以上5万元以下の罰金に処し、犯罪を構成する場合には、法に従って刑事責任を追及します。

3. 金融機関の違反行為

  1. 納税人が口座を開設する金融機関がその口座に税務登記番号などの登録を行わない場合には、税務機関は期限を設けて改善を命令し、2,000元以上2万元以下、違反が重大である場合には2万元以上5万元以下の罰に処されます。
  2. 納税人、源泉徴収義務者の口座に対する法に基づく調査、凍結、税金引き落としの執行の拒否した場合、あるいは預金移転のほう助により税金の流出を招いた場合には、その金融機関に対しては10万元以上50万元以下、直接関与した責任者に対しても1,000元以上1万元以下の罰金に処されます。

以上