中国 中国会計税務レポ

[中国会計税務レポ] 税収徴収管理法の概要 – 税金の徴収(2)

前回に引き続き税収徴収管理法(以下、本稿では「管理法」と呼びます。)および管理法実施細則の規定を紹介します。

1. 税金の徴収方法

税金は法および関連規定に基づいて税務機関および税務機関から委託を受けた組織や個人が徴収し、国庫に納付されます。徴収は、帳簿査定徴収が一般的ですが、納税人の財務会計制度が不健全で帳簿が完備されておらず、帳簿から正確な計算ができない場合には、税務機関により査定徴収が行われます(注2)。また、税務機関は納税人および源泉徴収義務者の納税申告の真実性および適正性を検証し、信用等級を査定します(注2)。
納税人および源泉徴収義務者は法及び関連規定に従って納付を行わなければならず、源泉徴収義務者が法に基づいて履行する源泉徴収、代理徴収を納税人は拒否できないと定められ、納税者がこれを拒否する場合には、源泉徴収義務者は速やかに税務機関に報告することを求められています。なお、源泉徴収義務者には税務機関から源泉徴収の手数料が支払われます。
(注1) 中国語表記では、帳簿査定徴収は「査チョウ(チョウは貝へんに長)征収」、査定徴収は「核定征収」。
(注2) 納税人をA、B、C、Dの4等級に評価します。B級が正常管理で、A級には優遇があり、C級は厳格な管理、D級は重点監督管理の対象となり、税にかかわる審査が強化されるのみに留まらず、関連部門にも通知されるため、経営、投資、輸出入、出入国、プロジェクトの入札、生産許可、就業資格、資質審査などさまざまな分野で制限または禁止措置がとられます。

2. 延滞金

納税人および源泉徴収義務者が納税期限までに税金を納付しない場合には、延滞税額に対して一日当たり0.05%(年率18.25%)の延滞金(中国語の表記は「滞納金」が課されます。延滞金の計算期間は法定の納付期限の翌日から起算して実際の納税日までとなります(注3)。
なお、税金の滞納中の納税者またはその法定代表者は、中国出国前に完納するか、担保の提供が必要で、これを行わない場合には、税務機関が出入国管理機関に対し出国阻止を求めることができるとされています。
(注3) 改正法の公開草案では「税收利息」と名称が変更され、市場の人民元貸出実勢金利が適用され、さらに減免や停止に関する条項の追加も予定されています。

3. 過誤納金の還付

納税者が税額を過大に納付した場合、申告納税日から3年以内であれば、過大納付税額の還付を受けることができます。

  1. 税務機関が過大納付を発見した場合
    その発見日から10日以内に還付手続きを行わなければなりません。
  2. 納税人自らが過大納付に気づいた場合
    税務機関に超過部分の還付を申請することができ、税務機関は還付申請の受理日から30日以内に還付しなければなりません。還付請求は納付税額に過大納付期間に対応する利息を加算した金額(注4)で行うことができます。ただし、利息の加算は予納税金の還付や増値税の輸出税還付(注5)や優遇政策による還付には適用されません。過誤納金の還付をうける納税人に未納の税金がある場合には、未納税額の充当を優先し、充当後に残額がある場合に還付します。

(注4) 利息の金額は還付手続き当日の中国人民銀行(中央銀行が公示する普通預金利息の利率を適用して計算します。
(注5) 物品を輸出した場合の増値税率は0%なので実質的に輸出品にかかる仕入増値税の控除ができないため、その一部が申告により還付される制度。

4. 徴税の遡及期間

納税人および源泉徴収義務者の税額に未納または過少納付が生じている場合には、税務機関は不足分の追徴を行うことができます。徴税の遡及(そきゅう)期間は原則として未納または過少納付した日から起算して3年以内です(注6)。

  1. 税務機関の責任による場合
    不足税額のみの徴収で、延滞金の支払いは要求できません。
  2. 納税人および源泉徴収義務者の錯誤による場合
    錯誤とは、意図的ではない計算式適用の誤りや明らかな誤記入をいい、不足税額に加えて延滞金を追徴することができます。不足納付額が10万元以上となる場合は追徴期間を5年間に延長されます。
  3. 脱税、納税拒否、税額詐取に該当する場合
    期限の制限は受けないとされています。

(注6) 改正法の公開草案では遡及期間が原則5年に延長され、脱税の場合でも15年となることが予定されています。

以上