中国 中国会計税務レポ

[中国会計税務レポ] 印花税票による納税

印花税(2)

前回は印花税の概要を紹介しました。今回は、日本の印紙に相当する印花税票及び印花税票による納税について具体的に紹介します。なお、中国では電子形式で作成される各種電子文書に対しても印花税が課税されることとなっています。

1. 印花税票

印花税票は実際に課税文書に貼り付ける紙片で、日本の収入印紙と同様に票面に固定額が表記されています。専ら印花税の徴収に用いられる有価証券で、印花税票を課税文書に貼り付けて消印をすることにより、納税を行ったことを証明するものとなります。
印花税票は9種類(注1)の定額税票がありますが、国家税務総局が統一して印刷、管理をしており、定期的に図案を変えて発行されています(注2)。印花税票の図案変更による発行は国家税務総局の公告として公布されますが、国家税務総局の説明によると、公告は印花税の管理強化、公衆の税票に対する識別力の増強と同時に広範なコレクターの需要に応えるため行っているとのことです。公告では図案の詳細のほか、税票のサイズや目打ちの規格などの偽造防止措置や各金額の発行総数も記されています。印花税は納税義務者自らの行為のみで納税が行われるという特徴があり、定期的に図案を変更することにより、文書作成時に印花税票を貼付せず、後年になって税票を購入して貼付するなどの印花税納付漏れの偽装を防止するという管理強化も図られることになります。

(注1) 1角、2角、5角、1元、2元、5元、10元、50元、100元。
(注2) 2012年12月に故宮の珍宝、2013年11月に福建省の伝統建築、2015年12月には中国古代思想家を題材としたシリーズと、ほぼ1~2年ごとに改定発行されています。

2. 印花税票による納税

印花税票の貼付による納税は、税務機関に対して行われるものではないため、納税義務者が正しい知識を持って正確な金額(注3)を貼付することも重要です。もし、作成する文書が課税文書か否か判断できない場合には、速やかに当該文書を税務機関に持参して判定を受ける必要があります。

<印花票貼付時の注意点>

  • 複数の契約当事者がそれぞれ所持するために複数の正本を作成する場合、各課税文書に印紙を貼付しなければならない(注4)。
  • 印花税票を貼付した後に文章の修正で記載金額が増加した場合は、増加額に相当する税票を追加して貼付しなければならない。
  • 同一の文書に税率の異なる2つ以上の課税項目が記されている場合で、金額が区分明示されていない場合、高い税率を適用して印紙税額を算定する。
  • 課税文書に金額の表示がない場合、国が定める価格(定められていない場合には市場価格)を適用して印紙税額を算定する。
  • 課税文書記載金額が外貨の場合、文書作成当日の中華人民共和国外貨管理当局が公表する為替相場により人民元に換算する。
  • 印紙を過大に貼付した場合でも、税額の還付または他への充当を申請することはできない。

(注3) 納税額が1角(1元の十分の一)未満は免除、1角以上で端数が0.5角未満は切り捨て。
(注4) 既に印花税を納付した文章について、対外的に権利義務関係が生じない、単なる保存用の謄本や抄本は税票貼付が免除されます。

3. 罰則

日本の印紙税では『低税重罰』の原則により、印紙税をその課税文書作成時までに納付しなかった場合に課せられる過怠税が、原則として未納印紙税額の3倍とその罰則は厳しいものとなっていますが、中国の印花税でも印紙の貼付違反があった場合、必要額の追加貼付のほか、状況の軽重に応じて以下の罰金を徴収することができる(注5)とされ、税収徴収管理法の定めに比べ非常に重いものとなっています。

  • 貼付漏れ、もしくは過少貼付の場合は不足額の20倍以下の罰金
  • 印紙の消印漏れは未消印紙税額の10倍以下の罰金
  • 使用済み印紙の再利用は再使用印紙税額の30倍以下の罰金

(注5) この罰則については、2004年1月29日以降は適用せず、軽減されることが規定されました(国税発[2004]15号)が、2016年5月に交付された国家税務総局公告第34号でこの15号通知が全文廃止とされ、その後続規定が公布されていません。