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香港・2017-18年度香港予算案

2017-18年度予算案で財政司長は、下段の措置を提案した。当該措置の全ては施行前に法律の修正を必要としている。

法案及び実施内容のハイライトは下段に示されている通りである。よくある質問に対する回答(FAQ [1])及び当該措置が実施された場合に上記の措置が如何に納税義務者の給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を軽減するかを示す実例 [2]も併せて提供されている(ここでは日本語版は割愛)。

当該措置が実施された場合の給与所得税及びパーソナル・アセスメントの税額を計算したい方は、香港政府によって提供されている納税額自動計算プログラム [3]を使用することが可能。

2016/17年度の法人利得税、給与所得税、及びパーソナル・アセスメントの税額を軽減

財政司長は、2016/17年度の法人利得税、給与所得税、及びパーソナル・アセスメント [10]の税額に対し、当該期間に限定して、20,000ドルを上限とする75%の減税措置を提案した。当該減税措置の実施に当たり、立法での可決手続が必要となる。

法人利得税に係る税額控除上限額は、事業単位毎に適用可能である。給与所得税に係る控除上限額は、納税義務者毎に適用可能であるが、夫婦で共同申告(ジョイントアセスメント)を行う場合は、夫婦単位毎に適用される。パーソナル・アセスメントを適用する場合は、原則納税義務者毎に適用可能であるが、既婚者の場合は必ず夫婦揃って適用しなければならず夫婦単位で当該減税措置を享受することとなる。

当該減税措置は、資産所得税には適用されない。賃貸収入がある個人は、パーソナル・アセスメントを適用できる場合 [11]、パーソナル・アセスメントの下で当該減税措置を享受することができる。

給与所得税及び法人利得税それぞれに課税される納税義務者(パーソナル・アセスメントを適用できない場合)は、それぞれの税金に対して当該減税措置を享受することができる。事業収入や賃料収入のある個人でパーソナル・アセスメントを適用できる場合、パーソナル・アセスメントの下で当該減税措置を享受することができる。当該ケースの場合、パーソナル・アセスメントを選択しなかった場合に享受しうる減税額とは異なる可能性がある。正確な減税額は、ケースごとに判断される。税務当局は、パーソナル・アセスメントの選択が納税額を減額できるかどうかをケース毎に確認し、最も有利な方法で納税義務者を査定する。

パーソナル・アセスメントを適用する場合、納税義務者は2016/17年度給与所得税申告書(BIR60)の項目6に記入しなければならない。事業収入もしくは賃料収入がなく給与所得のみの個人は、パーソナル・アセスメントを選択する必要がない。

当該減税措置は2016/17年度の税額査定における納税義務者の納税債務を軽減する予定。納税義務者は例年同様、翌4月に発行される2016/17年度法人利得税申告書並びに給与所得税申告書を提出しなければならない。関連法案の成立後、香港税務当局は最終査定において当該減税措置を有効とする。当該法案の成立前に発行された2016/17年度の最終税額査定書に関して、香港税務当局は当該法案の成立後に再度査定を実施する予定。税額の超過支払分については2017年7月後半から還付される見込み。納税義務者は特段申告や照会を税務当局に対してする必要はない。

当該減税措置は2016/17年度最終税額に対してのみ適用され、同年の予定納税額に対しては適用されない。従って、当該減税措置を差し置いて、納税義務者は依然として予定納税額を期限通りに支払う必要がある。支払済み予定納税額は2016/17年度最終査定額及び2017/18年度予定納税査定額に対する支払いに対して充当される。万が一、超過残額がある場合は還付されることとなる。

課税所得の累進課税率は据置きつつ累進課税幅の増額

財政司長は、2017/18年度税額査定より、累進課税幅を40,000ドルから45,000ドルへと増額することを提案した。現時点と提案されている累進課税幅は下記の通りである。

評価年度 現行(2016-17年度) 暫定案(2017-18年以降)
課税所得純額 (累進幅)香港ドル 税率 課税所得純額 (累進幅)香港ドル 税率
第1段階 40,000 2% 45,000 2%
第2段階 40,000 7% 45,000 7%
第3段階 40,000 12% 45,000 12%
120,000 135,000
残額 17% 17%

各控除項目の増額

財政司長は、下記の控除項目の増額を2016/17年度税額査定より有効とすることを提案した。

評価年度 現行(2016-17年度) 香港ドル 暫定案(2017-18年度) 香港ドル
基礎控除(独身) 132,000 132,000
基礎控除(既婚者) 264,000 264,000
寡婦(夫)控除 132,000 132,000
子供扶養控除
 第1子から第9子まで各一人当たり 100,000 100,000
 誕生の年の増額 100,000 100,000
兄弟(姉妹)扶養控除 33,000 37,500
父母祖父母扶養控除
 60歳以上及び60歳未満かつ障害者 46,000 46,000
 55歳~59歳まで 23,000 23,000
付加父母控除祖父母控除 (年間を通じて納税者と同居している)
 60歳以上及び60歳未満かつ障害者 46,000 46,000
 55歳~59歳まで 23,000 23,000
老人介護施設費用控除 92,000 92,000
障害者扶養控除 66,000 75,000
自己学習費用税額控除年間上限額 80,000 100,000
MPF積立額税額控除年間上限額 18,000 18,000

障害者扶養控除及び兄弟(姉妹)扶養控除の増額

財政司長は、障害者扶養控除の66,000ドルから75,000ドルへの増額と、兄弟(姉妹)扶養控除の33,000ドルから37,500ドルへの増額を2017/18年度税額査定より有効とすることを提案した。

自己学習費用控除額の上限増額

財政司長は、自己学習費用 [12]控除額の80,000香港ドルから100,000香港ドルへの増額を2017/18年度税額査定より有効とすることを提案した。

住宅ローン利息の控除年数を延長

財政司長は、住宅ローン利息控除年数を、2017/18年度税額査定より15年から20年へ延長することを提案した。しかしながら、控除上限の年間100,000ドルは維持される。

各種控除項目と老人介護施設費用控除の増額の適用方法

関連法案の成立後、香港税務当局は、新しい控除額を2017/18年度予定納税額の計算において自動的に適用していく。2016/17年度の税務申告において通常通りを申告していることを除き、納税義務者は、当該控除額の増額に関して別途申請する必要はない。なお、老人介護施設費用控除の増額上限については、よくある質問に対する回答(FAQ 9 to 10 [13])及び例示(Example 3 [14])をご覧ください。

英語原文

http://www.ird.gov.hk/eng/tax/budget.htm [15]