中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(61)

 2015年12月11日付で「会計档案管理弁法」(財政部・国家档案局令79号、以下「会計書類管理弁法」という。)が公布され、2016年1月から施行が開始されました。1999年1月1日に施行された「会計档案管理弁法」(財会字[1998]32号)は同時に廃止されています。

1. 会計書類管理弁法

 「会計書類管理弁法」は、会計档案を分類して保管する、すなわち会計書類のファイリングの方法を定めるもので、国家機関、社会団体、企業、事業単位は全てこの弁法に従って会計書類の保管及び廃棄を行うことが求められています。また、財政部と国家档案局が共同で全国統一の会計書類作業制度を制定し、その実行の管理監督と指導を行うものとしています。
 「档案」とは保存する文献、書類、調書などのことで、同法に定められる会計保存書類の範囲は、会計計算を実行する過程において受理または形成する単位の経済業務事項を記録、反映した保存価値がある文字、図表等の各種形式の会計資料とされ、予算、計画、制度などの文書資料には同法は適用されません。

(注1)中華人民共和国国家档案局は国務院直属の機構で、国家の政策と法規に基づき、文書管理業務の方針や政策、法規則を立案し、国家機関や地方の公文書管理を組織・指導・検査・監督するとともに、文化資料も含めた国家の重要資料の収集・整理・保管し、社会のために利用に供する役割を担っています。

2. 主な改正点

一.会計書類の範囲
コンピュータ等の電子設備を通して形成、発信及び保存する電子会計書類が含まれることが明記されました。
二.電子媒体による管理・保存
コンピュータ、ネットワーク通信等の情報技術手段を利用して会計書類を管理すること、及び所定の要件を満たす電子会計資料ファイルは、電子形式のままで会計書類として保存することができるとされました。
三.会計部門による臨時保管の制限
会計書類は、会計年度終了後、会計部門が臨時に1年保管した後に書類管理部門に移管して保管することができ、作業上の都合で移管が延期される場合には書類管理部門の同意を経なければならず、かつ、臨時保管期限は最長3年とされました。
四.会計書類の保管期限
3、5、10、15、25年の5分類から10、30年の2分類に変更されました。

<企業の会計書類保管期限>

資料名 保管期限
一.会計証憑・伝票
原始証憑 30年
記帳伝票 30年
二.会計帳簿
総勘定元帳 30年
補助元帳 30年
仕訳日記帳 30年
固定資産管理票 固定資産廃棄後5年
その他補助性帳簿 30年
三.会計報告
月次・四半期・半期会計報告 10年
年度会計報告 永久
四.その他会計資料
銀行勘定調整表 10年
預金残高確認書 10年
税務申告書 10年
会計書類移管台帳 30年
会計書類保管台帳 永久
会計書類廃棄台帳 永久
会計書類鑑定意見書 永久

(注2)会計書類の保管期限は会計年度終了日の翌日から起算。