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[華南ビジネス] 越境EC政策の新動向について

 中国の越境ECは数年来、試験区の設置と企業の誘致、通関ネットワークの構築等を通じ、急速な発展が見られ、既に中国の市民の新たな消費モデルの柱を担っています。

 越境ECは自由貿易試験区等にモデル地域が設置され、そのモデル地域内に越境EC企業を誘致し登記させる措置が採られています。新聞報道等によると、広東省広州市に所在する南沙自由貿易試験区は正式発足以来1年を迎えましたが、検験検疫局への備案企業数で774社に達し、オンラインショッピングによる保税輸入取引額は13.8億元を超えるとのことです。

 越境ECの小売業務(B to C)について輸入時の税制を新たに規定すると共に、リスト管理を導入する旨の通知が発布されています。
これにより、これまで越境ECの貨物輸入時の税制は、郵便税(中国語「行郵税」)に沿っていましたが、今後は、関税は免税上限を規定、増値税と消費税は減税上限を規定となりました。概要は以下の通りです。

(一)越境ECの税制変更

① 越境電子商務小売輸入税収政策の通知 財関税[2016]18号
財政部、税関総署、国家税務総局 2016年4月8日より執行

② 越境EC小売輸入商品に対し関税と輸入増値税及び消費税を課税
越境EC商品を購入する個人を納税義務者とし、EC企業、電子商務取引プラットフォーム企業或は物流企業を、受取・支払代行義務者とする。

③ 取引毎2,000元、個人年間20,000元までは関税0、増値税と消費税は7割課税

 これまで適用されていた行郵税は製品により10%~50%、税額が50元を超えなければ免税、というものでしたが、この規定執行(4月8日)後、取引毎に2,000元、個人の年間20,000元までは関税0とし、増値税と消費税は税額の70%で徴収するとしています。
 1回の取引額が2,000元を超える場合、また個人の年度取引額が20,000元を超えた1回の取引は、一般貿易方式に基づいて全額課税するものとしています。

(二)越境ECの商品リスト

① 十一部門が公布する、越境電子商務小売り輸入商品リストの公告
財政部、発展改革委員会、工業と信息化部等十一部門 2016年第40号

越境電子商務小売り輸入商品リスト(第2次)の公告
財政部、発展改革委員会、工業と信息化部等十一部門 2016年第47号
(2016年4月16日施行)

② 工業材料等の越境EC取引を、個人消費者向け商品輸入取引と明確に区別するため、越境EC商務小売輸入をリスト管理するものです。

③ 第1次リストは1142の品目に分かれ(8桁の税関コード)、食品飲料、アパレル・靴・帽子、家電及び一部化粧品、紙おむつ、子供の玩具やステンレスポット等、主に国内に消費ニーズがあるものが含まれます。

④ 第2次リストは、151の品目に分かれ(8桁の税関コード)、ミルク(液体)、生鮮、米・穀物・油等の食品や、農産品、ビタミン等の健康食品等が含まれます。

⑤ 商品に応じて以下のような各種手続きに留意が必要です。
・医療器械関連製品は、医療器械関連規定に基づき登録或は備案が必要。
・健康食品は初回輸入時に食品薬品監督管理総局に登録、備案等が必要。
・生鮮・果物は、オンラインショッピングで保税輸入が可能。
・穀物とその加工製品はオンラインショッピングの保税輸入が可能、但し年度の重量制限(1人・年あたり20kg以下)
・成人用粉及び液体ミルクはオンラインショッピングの保税輸入が可能。

⑥ リスト内商品の輸入時、許可証提出不要で、検験検疫監督管理は関連規定により執行するとされます。即ち、直輸入商品は輸入通関時の検査は不要、保税区倉庫を利用するオンラインショッピングは、海外から保税区倉庫入庫時に検査済み通関単が必要としています。