中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(46)

 主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを紹介していきます。今回は利益処分について説明します。紹介する内容は、基本的には企業会計準則(新準則)に基づきます。

1.企業の利益処分

 企業の利益処分は、企業に生じた利益または損失を企業の定款や投資者の協議に従って処理し、最終的に企業所得税引後の分配可能利益を出資者に分配することです。企業の利益分配については、公司法(会社法)に定められており、会社は、当年の税引後利益を分配するとき、利益の10%を会社の法定準備金に積み立てなければなりませんが、会社の法定準備金の累計額が会社の登録資本金の50%以上になる場合は、新たな積み立てを必要としないとされています。また、過年度の欠損がある場合には、法定準備金を積み立てる前に、当年の利益をもって欠損を填補し、そのうえで準備金を積み立てた後の剰余利益を分配するものとなります。この規定により積み立てられた準備金は、貸借対照表上「利益剰余金」として表示されます。

 利益は、有限公司の場合原則として実際に払い込んだ出資の割合に従い、株式会社の場合には原則として保有株式の比率により分配しますが、会社の定款に別の定めがある場合にはこれに従います。なお、中国の配当は一納税年度に1回で、原則として中間配当は行うことはできません。

2.利潤分配(利益処分)

 「利潤分配(利益処分)」科目は、企業の利益(または損失)の分配および各年度の企業所得税控除後の未処分利益(または損失)を計算する科目です。 「利潤分配(利益処分」科目は、「提取法定盈余公積(法定利益剰余金繰入)」、「提取任意盈余公積(任意剰余金繰入)」、「未分配利潤(未処分利益)」などの明細科目を設置して使用します。

2.3. 盈余公積(利益剰余金)

 「盈余公積(利益剰余金)」科目は、企業の純利益から積み立てる各種準備資金を計算するもので、法定のものと任意のものに区分されます。外商投資企業がいわゆる三項基金(準備基金・企業発展基金・福利基金)を積み立てる場合、これらの基金別に明細科目を設置して使用します。利益剰余金は、会社の欠損の補填、会社の生産経営の拡大、または会社の資本への組み入れに用いるものとされています。

<例40-1> A社の今年度の税引後当期利益は90万元であった。前期以前に繰越欠損金は生じていない。
① 税引後利益を未処分利益に振り替える。
借:本年利潤(当期利益)                   900,000
 貸:利潤分配-未分配利潤(利益処分-未処分利益)  900,000
① その10%を利益準備金に積み立て、利益配当を60万元行うことを決議した。
借:利潤分配-提取法定盈余公積(利益処分-法定利益剰余金繰入)90,000
        -応付現金股利(利益処分-未払現金配当)     600,000
  貸:盈余公積-法定盈余公積(利益剰余金-法定利益剰余金)       90,000
    応付股利(未払配当)                               600,000
借:利潤分配-未分配利潤(利益処分-未処分利益)            690,000
 貸:利潤分配-提取法定盈余公積(利益処分-法定利益剰余金繰入) 90,000
         -応付現金股利(利益処分-未払現金配当)     600,000
<例40-2>B社は欠損が生じたため、任意利益剰余金20万元を取り崩して補てんすることを決議した。
借: 盈余公積-任意盈余公積(利益剰余金-任意利益剰余金)      200,000
 貸: 利潤分配-盈余公積補虧(利益処分-利益剰余金欠損補てん)    200,000
<例40-3>C社は、法定利益剰余金30万元と任意利益剰余金20万元を資本に繰り入れて増資することを決議した(注)。
借: 盈余公積-法定盈余公積(利益剰余金-法定利益剰余金)    300,000
    任意盈余公積(利益剰余金-任意利益剰余金)    200,000
 貸: 実収資本(払込資本)                              500,000

(注)会社法上、法定準備金の資本組み入れには制限が設けられています。