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 中国の住宅積立金制度について、2015年11月21日に修正審査評価稿(「送審稿」)が国務院に提出されると同時に、12月19日までとして意見募集が行われていました。
 住宅積立金は法定社会保険の他に中国の企業等の組織機構が従業員の住宅購入等の補助ために加入積立する制度で、1991年に上海がシンガポールの制度に倣い全国に先駆けて開始した後、1999年に国務院より全国で住宅積立金制度施行を決定、99年に《住宅積立金管理条例》施行、2002年に修正が行われています。中国の社会保障制度の中でも新しい制度の一つであり、都市間の資金移動ができない、資金引出可能な方法が限られる等の問題改善が望まれています。また企業と社員による積立負担は軽くなく、制度実行の強制程度が地域により異なり、社員が当初積立を望まなくとも後日の労働争議で企業義務が問われるといった問題点もあり、企業にとっても注意が必要です。
 今回の修正審査評価稿には次のような内容が含まれます。

(a) 住宅積立金の義務化を明確化し、対象範囲を企業や組織だけでなく、個人事業者やパートタイム(「非全日制従業員」)に拡大、積立比率と納付基数に上下限を規定する
(b) 基金の引出条件を緩和し、住宅購入、建造、修理、内装、賃貸、管理費支払にも引き出せるようにするほか、本人と同時に配偶者も引出可とする。
(c) 基金運用を国債だけでなく、認可を経た融資、投資を可能とし、運用効果を図る。
(d) 住宅積立金に加入しない、過小積立等は違法行為として企業への法律責任を明記。

 現行の住宅積立金規定との違いを項目別にまとめたものは以下の通り。

1.納付主体範囲を拡大

(旧) 納付対象:国家機関、国有企業、集団企業、外商投資企業、民営企業及びその他企業、事業単位、民間非企業単位、社会団体及びその在籍従業員(第2条)
(新) 個人事業主、非全日制従業員、その他自由業者(第2条、第3条)
2.派遣社員の納付
(旧) 無し
(新) 派遣社員の納付主体は派遣協議で定め、定めない場合は派遣先より納付
3.新入社員の加入
(旧) 採用日から30日以内に加入登記
(新) 雇用日から30日以内に加入登記
4.納付基数幅を規定
(旧) 無し
(新) 最低:各地前年度社会平均給与の60%~3倍(第19条)
5.引出条件の緩和
(旧) 住宅積立金引出前に企業審査、証明発行が必要
(新) 積立金引出と貸付に積立金管理センターが審査、企業審査不要(第27,28条)
6.資金流動性と価値保全強化
(旧) 国債の購入可能(第28条)
(新) 認可を経て証券、手形割引利息融資、地方政府債券、製作性金融債、住宅積立金個人貸付金証券等の投資が可能(第30条)
7.リスク管理強化
(旧) 基金用途:貸付リスク管理準備金、基金管理センター管理費用、都市福利性住宅リース補充資金(第29条)
(新) 基金用途:基金管理センター経費、貸付リスク準備金のみ(第31条)
8.違法行為処罰
(旧) 企業未登記・口座未開設、改善しない場合1万元~5万元の罰金(第37条)
(新) 企業未登記・口座未開設、改善しない場合未納付金の3-5倍の罰金及び責任者3~5千元の罰金(第44条)
(旧) 未納・過少納付企業に対し裁判所により強制執行申請可(第38条)
(新) 未納・過少納付企業に対し未納・過少納付額の3-5倍の罰金(第45条)
(新) 検査協力しない、情報隠匿する企業に対し10万元~20万元の罰金(第50条)
(新) 虚偽資料により積立金引出、借入する個人に対し返還命令と、引出額1-3倍か、借入額10-30%の罰金(第51条)

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