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CEPA新協定―内地広東省と香港/マカオのサービス貿易自由化協定

CEPA新協定―内地広東省と香港/マカオのサービス貿易自由化協定
香港企業の広東省投資手続きが認可から備案手続きへ

中国政府が2011年に発表した「十二五」期間終了前までに内地と香港・マカオのサービス貿易を基本的に自由化するという目標のもと、2014年12月18日に《内地広東省と香港/マカオ のサービス貿易自由化協定》を締結し、2015年3月1日より施行されています。この協定は大陸側では「内地と香港/マカオとの協定」と略称され、香港側では「広東協定」とも呼ばれています。

この協定の一環である投資便利化措置として、香港及びマカオ企業の広東省における会社設立時の手続きの簡素化があります。通常、外国企業が中国で会社設立を行う場合、各地の商務部門に対し、合弁契約書や定款、投資者企業情報等を提出して設立認可の審査を受ける必要があり、認可後に初めて工商部門にて会社登記を行うことができることとなっています。これが、商務部公告2015年第7号公告 《香港マカオサービス提供者の広東省投資備案管理弁法(試行)》により、香港マカオ企業の広東省における会社設立及び変更時に、商務部門の設立認可審査は行われず、同部門への届出(「備案」)提出となりました。但し、適用されるサービス領域は、内地と香港/マカオ各協定のネガティブリストに制限的措置を定める分野は除かれると共に、電信業、文化領域、金融機構の設立に関しては依然として認可申請が必要です。

本協定の手続簡素化により、対象業種の会社設立所要期間は他の外国企業による設立に比べ1か月程度短縮されることになります。このような設立手続き簡素化は、他にも、自由貿易試験区に会社を設立登記する外国企業の自由貿易試験区ネガティブリスト以外の領域で実施されています。

協定による手続簡素化を適用する場合、手続きは以下の通りです。

・備案登記手続きは商務部門にて行われる。
商務部外商(香港マカオ台湾)投資備案情報システム:
http://wzzxbs.mofcom.gov.cn/app/entp/approve を通じて手続きを行う。

・香港マカオサービスサプライヤーが広東省に設立した企業に変更が発生するか、或は広東省外から転入してくる場合、備案登記範囲業種の場合、備案手続きに変更し、且つ《香港マカオ台湾投資企業批准証書》を認可部門に返却する。

・備案手続き範囲には、設立後の企業の以下の変更事項を含む。
(1)投資総額の変更
(2)登録資本の変更
(3)持分、合作権益の変更と譲渡
(4)持分抵当
(5)合併・分割
(6)経営範囲の変更
(7)経営期限の変更
(8)経営期限満了前の終了 
(9)出資方式、出資期限の変更         
(10)合作企業の香港マカオ投資者による先行投資回収          
(11)企業名称変更
(12)登録住所変更
・申請者より《設立備案申告表》或は《変更備案申告表》を提出後、備案機構は3日以内に備案登記を終了し各地の商務部門に通知し、且つ広東省オンライン手続のHPに公示される。

・企業所在地の商務部門より、《香港マカオサービスサプライヤー投資企業備案証明》(《備案証明》)が発行されるので、企業がこれを取得時、①企業名称事前許可通知書(コピー)、②香港/マカオサービスサプライヤー証明書(コピー)、③《設立/変更 備案申告表》 を持参する。

・企業は《備案証明》)を持って、工商部門等の登記変更手続きを完了する。

香港マカオ投資企業は広東省内所在地商務部門の規定に沿って、毎年6月30日までに、備案システムにて、前年度の投資経営情報を報告しなければなりません。
また、香港マカオ投資者が企業の持分をその他の外国投資者に譲渡する場合は元の認可制度に沿って手続きを行うこととなります。

※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。