中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(29)

主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを具体的に紹介します。今回は短期および長期の借入金について紹介します。

1.銀行借款(銀行借入)

中国国内においては、行政部門、企業や事業単位などの間で貸付などの金融行為を行うことができないと規定(貸款通則第61条)とされ、一般企業からの直接融資は禁止されています。よって、国内での資金調達は資格のある銀行等の金融機関からの融資に限定され、企業間の貸借には、銀行を介在させる「委託貸付」という方法によることになります。なお、外商投資企業については、中国国外の親会社等からの借り入れが、別途、所定の登録手続きの下に認められています。

2.短期借款(短期借入金)の会計処理

借入期限が1年以下の各種借入で、企業の正常な経営活動を維持するための運転資金の不足や債務返済を補うために行うものです。短期借入金に発生する利息は財務費用として当期の損益に計上します。利払いが、四半期ごとや半年ごと、または返済期限に元利一括返済で、かつ金額が比較的大きい場合には、発生主義の原則に従い、各月に預提利息費用(利息の未払費用計上)が求められます。だだし、毎月利息を支払う場合や、元利一括返済であっても利息金額が大きくない場合には、金融機関から利息計算の通知を受け取った時、または実際の利払い時にその発生利息を当期の損益(財務費用)として計上することができます。
<例23> A社は5月1日付で銀行から10万元を借入期間6カ月、年利6%、元利一括返済の条件で借り入れた。
① 5月1日、借入時
借: 銀行存款(銀行預金)        100,000
貸: 短期借款(短期借入金)       100,000

② 借入期間中の各月末
借: 財務費用                500
貸: 応付利息(未払利息)          500

③10月31日、返済時
借:短期借款(短期借入金)        100,000
  応付利息(未払利息)         2,500
  財務費用               500
貸: 銀行存款(銀行預金)        103,000   

3.長期借款(長期借入金)

借入期限が1年を超える各種借入については、長期間に渡り管理が必要であるため、1級科目の下に借入先の名称や借入の種類、本金(元金)、交易費用(手数料)などの明細科目を設定して使用します。長期借入金は、通常、固定資産の取得や大規模修理など経営規模の拡大や効率を高めるために使用され、支払利息はその借入の使途に応じ、財務費用のほか、製造費用、研究開発費、建設仮勘定などの科目に計上されます。なお、支払利息を建設仮勘定に計上するのは当該資産の交付前に限られ、交付を受けた以降については、当期の損益に計上します。
<例24> B社は2013年3月1日に100万元を設備の増設のため、借入期間 1年6カ月、年利6%、利息は半年ごとに支払う条件で借り入れた。
① 借入と同時に設備を購入し、代金を支払った。設置には4カ月を要する。
借: 銀行存款(銀行預金)    1,000,000
貸: 短期借款-本金(元金)  1,000,000
借: 在建工程(建設仮勘定)    1,000,000
貸: 銀行存款(銀行預金) 1,000,000

② 設備の交付を受けた。この間に発生した支払利息は2万元であった。
借: 在建工程(建設仮勘定) 20,000
貸: 応付利息(未払利息) 20,000
借: 固定資産    1,020,000
貸: 在建工程(建設仮勘定) 1,020,000

③ 2013年8月末日利払い日
借: 財務費用    10,000
   応付利息(未払利息) 20,000
貸: 銀行存款(銀行預金)  30,000

④ 2013年12月31日
借: 財務費用             20,000
 貸: 応付利息(未払利息) 20,000

⑤ 2014年2月末日利払い日  ③に同じ

⑥ 2014年8月末日返済期日が到来した。
借:長期借入金-本金(元金) 1,000,000
  財務費用 30,000
貸:銀行存款(銀行預金) 1,030,000