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[中国会計] 中国の国家統一会計制度(28)

主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを具体的に紹介します。今回は短期の未払および前受金債務のうち、未払税金に関するものについて紹介します。

1.応交税費(未払税金)

企業が法律の規定に基づき納付義務を有する増値税、営業税、消費税、所得税、資源税、房産税、土地使用税、車船使用税、城市維ゴ建設税(都市維持建設税:ゴはてへんに戸)、教育費附加などの各種税金は「応付税費(未払税金)」という科目を通して計算します。これら納付すべき税金は発生主義に基づき認識し、未払税金科目に計上しなければなりません。ただし、印紙税などの納付額の見込み計算の必要がない税金については、この科目を通さず、直接原価や費用に計上します。
この科目には、「応交企業所得税(未払企業所得税)」や「応交営業税(未払営業税)」など、税目ごとに明細科目を設置して使用します。

2.応交増値税(未払増値税)の会計処理

増値税は、物やサービスの取引に対し課税される付加価値税で、日本の消費税同様に売上に係る増値税額から仕入れに含まれる増値税額を控除した額を納付します。ただし、増値税額の計算上、売上税額から控除することができる仕入税額は所定の要件を満たすものに限られ、免税売上に対応する仕入税額や正式な証憑のないものなどは控除できません。控除できない仕入税額は生産原価や費用に振り替えることになります。
このため、増値税については、未払税金の明細として、納付税額の計算過程で使用する「応交増値税(未払増値税)」と、最終的に確定した納付税額を計上する「未交増値税(未納増値税)」の2つの2級科目を設置し、さらに、「応交増値税(未払増値税)」については、計算過程に必要な「ショウ項税額(売上税額)」(ショウはかねへんに肖)、「進項税額(仕入税額)」、「進項税額転出(仕入税額振替)」、「転出未交増値税(振替未納増値税)」などの明細科目を設置して使用するものとなります。

<例22-1> 増値税の一般納税人であるA社は製品甲と乙を製造販売している。増値税は甲17%、乙は免税である。
①10月に仕入れた材料は100万元(増値税17%)であり、既に代金を支払っている。
借:原材料                       1,000,000
  応交税費-応交増値税・進項税額
(未払税金-未払増値税・仕入税額) 170,000
貸:銀行存款(銀行預金)               1,170,000

②①の材料のうち20%を乙の製造に使用した。
借:生産成本(製造原価)                      234,000      
貸:原材料                            200,000
  応交税費-応交増値税・進項税額転出
  (未払税金-未払増値税・仕入税額振替) 34,000

③10月の甲の売上は150万元であり、既に支払いを受けた。
借:銀行存款(銀行預金)                       1,755,000
貸:主営業務収入      1,500,000
   応交税費-応交増値税・進項税額              
   (未払税金-未払増値税・売上税額)     255,000

④10月の増値税納付税額は119,000元と計算された。
借:応交税費-応交増値税・転出未交増値税
  (未払税金-未払増値税・振替未納増値税)         119,000
貸:応交税費-未交増値税
  (未払税金-未納増値税)                 119,000
なお、年間の増値税課税売上が少なく、小規模納税人に該当する場合には、「応交増値税(未払増値税)」のみを設置します。

<例22―2> B社は増値税の小規模納税人である。
①10月分の増値税課税売上(適用税率3%)の収入は4万元であり、手形を受け取った。
借: 応収票据(受取手形) 41,200
貸: 主営業収入   40,000
   応交税費-応交増値税(未払税金-未払増値税) 1,200

②増値税額を納付した。
借: 応交税費-応交増値税(未払税金-未払増値税) 1,200
貸: 銀行存款(銀行預金) 1,200