香港

[Q&A] 香港においてストックオプションを付与された場合の申告手続について

Q. 私どもの会社(日本国一部上場企業)が、香港の居住者となっている日本本社の役員に対して、数年前に日本の親会社のストックオプションを付与しました(当該役員の付与時の日本での地位は従業員)。
香港では、日本の親会社のストックオプションを付与された場合でも、付与した年度の個人所得税申告において、当該ストックオプションが付与されていることを申告する必要がありますでしょうか。
また、当該申告手続を行っていない場合、過去分について遡って行うことが可能で罰則などありますでしょうか。

A. まず一般的に、仰せのストックオプションが権利行使されていないことを前提としますと、申告書(Employer’s Return – BIR56A&IR56B)を提出する際に、ストックオプションが付与された従業員(役員)の、次の情報を網羅したリストを作成し、香港税務局に提出することが義務付けられています:①香港IDカード番号(非常勤の場合はパスポート番号)②付与されたストック数並びに③当該ストックの対象会社なお、たとえ日本の親会社を含む海外の会社のストックオプションであっても、香港での役務の対価として付与されている限り、香港源泉の所得として見なされますので、申告義務がある点、及び権利行使した際は香港で課税対象となる点に、留意が必要です。

次に、それらストックオプションが権利行使もしくは第三者に譲渡された場合は、上述のリストを添付し提出するのみならず、申告書自体に付与時の価値、及び付与時と権利行使時の時価差額を計算し、記載する必要があります。

蛇足ですが、権利行使時、オプション自体の譲渡や売却時点で課税対象となる一方で、権利行使後の株式売却益については、個人のキャピタルゲインとなる点、ご混乱のないよう留意する必要があろうかと存じます。香港にて勤務もしくは源泉所得を得る前に付与されたストックオプションについては、その付与日から権利確定日までの対象勤務期間が香港出向以降も継続する場合に、予め雇用開始届(IR56E)を提出時に、それらのリストを作成し提出することで、香港出向以前の対象勤務期間分は香港源泉外の付与分として、認識してもらうことが可能です。

最後に、上述の申告手続は税務条例で規定されている義務となっているため、罰則規定(10,000香港ドル~)が存在し、その判断は税務局側に委ねられますので、真摯にかつ自主的に申告手続を取って頂くことをお勧めします。