中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(23)

主要な経済取引にかかる会計科目に関する記帳処理などを具体的に紹介します。今回は短期の未収および預け金債権のうち売掛金について紹介します。

1.「応収及預付款」(未収および預け金)
「未収および預け金」とは、企業の日常の経営過程において形成される各種の短期債権をいい、販売活動により生じる「応収チョウ款(チョウは貝へんに長) (売掛金)」や「応収票据(受取手形)」、またはその他の経営活動において生じる「応収股利(未収配当金)」「応収利息(未収利息)」などの未収項目、「預付チョウ款(前渡金)」などの預け金項目が含まれます。
これらは企業の重要な流動資産であり、受取対象はそれぞれ未収項目が貨幣、預け金項目が商品等のモノとなります。

2.応収チョウ款(売掛金)の認識
「売掛金」とは、商品販売または役務の提供等の経営活動により、商品の購入者または役務を受ける相手方から受け取る金銭、すなわち未収代金を計算する勘定科目です。掛け売りは、顧客に対し短期信用を供与することであり、時には回収不能となって貸倒損失が生じる可能性もあることから、その管理は厳重に行われなければなりません。よって、売掛金勘定は債権先ごとに明細科目を設置することが求められています。
売掛金は商品販売や役務提供等により生じるものであるため、売掛金の認識と収入の認識には密接な関係があります。収入の認識条件は別途紹介いたしますが、収入の認識条件に合致する場合で、その対価の受領がない場合には、収入の認識と同時に売掛金を認識することとなります。

3.売掛金の計算と記帳処理
売掛金は、実際に相手方から収受する金額で記帳するものとなります。例えば、増値税などの税額や商品の発送に要する包装代や運送代の立替払い額がある場合、これらの金額は売掛金に含めて処理をします。

<例14>
商品15,000元を販売し、送料に200元かかった。取引に係る増値税は考慮しない。
送料を販売者が立替え、購入者が負担 送料を購入者が立替え、販売者が負担
①販売時
借: 応収チョウ款(売掛金) 15,200
貸: 主営業務収入(売上) 15,000
   銀行存款(銀行預金)   200

借: 応収チョウ款(売掛金) 15,000
貸: 主営業務収入(売上) 15,000

②代金回収時
借: 銀行存款(銀行預金)15,200
貸: 応収チョウ款(売掛金)  15,200

借: 銀行存款(銀行預金) 14,800
   銷售費用(販売費用) 200
貸: 応収チョウ款(売掛金)   15,000

また、商業割引や、現金割引などが行われた場合にはこれも考慮しなければなりません。
商業割引とは、10個以上商品を購入したら10%割り引く、または10個ごとに1個おまけを付けるといった形で販売価格から控除することで、最終的に成立した金額が実際の取引額となります。現金割引とは、期限前に支払った場合に一定率を割り引くもので、割引額は財務費用として処理します。

<例15>
7月1日に8万元の商品を2/10,n/30(10日以内2%割引、30日内全額払い)の条件で販売した。取引に係る増値税は考慮しない。記帳は総額法による。
①販売時
借: 応収チョウ款(売掛金) 80,000
貸: 主営業務収入(売上) 80,000
②a 7月10日に代金が銀行口座に振り込まれた場合
借: 銀行存款(銀行預金) 78,400
   財務費用       1,600
貸: 応収チョウ款(売掛金) 80,000   
②b 7月30日に代金が銀行口座に振り込まれた場合。
借: 銀行存款(銀行預金) 80,000
貸: 応収チョウ款(売掛金) 80,000