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[華南ビジネス] 2014年税関の加工貿易新規定動向について

2014年に発布された加工貿易に関する規定の変更状況をまとめておきたいと思います。

1.税関総署令第218号 《税関総署 一部規定の変更に関する決定》

(1)余剰材料の結転に際しリスク保証金の納付が必要となる状況
加工貿易企業の余剰材料の結転に際し下記の状況の1つがある場合、結転する保税材料に対応する税額を超えないリスク保証金を納付後に税関は結転手続を行うものとする。

  1. 同一経営企業の余剰材料をある加工企業からもう1つの加工企業に転廠する場合
  2. 余剰材料の結転金額が当該加工貿易契約の下で実際輸入材料総額の50%及びそれ以上となる場合
  3. 余剰材料の帰属する加工貿易契約において2回及び2回以上の延期手続を行なった場合

(2)余剰材料の結転に際しリスク保証金の免除となる状況

  1. 加工貿易のA類管理企業である場合
  2. 台帳実転(保証金の実際納付)をすでに実行している契約で、台帳実転金額が結転する保税材料に対応する税額を下回らない場合
  3. 企業に移転、合併、分割、リストラ、制度改正、持分変更等法律の規定する状況があり、新企業が元の企業より主な権利義務或は債権債務関係を継承する場合、余剰材料の結転は同一経営企業、同一加工企業、同一貿易方式の制限を受けない。

(3)国内販売或は積戻しが不能な保税材料の処理について
※以前は放棄申請が必要だったが、今後は資格を有する機構により廃棄処理を行うことが可能になったもの。
加工貿易企業の、国内販売或は積戻しの不能な保税の屑材、余剰材料、不良品、副産物或は被災貨物について、加工貿易企業より法定資格を有する機構に委託し廃棄処理を行なうことができ、税関は当該廃棄証票、処理機構が発行した受領票と処理証明等の資料に基づき核銷手続を行う。

税関は監督員を派遣することがあり、加工貿易企業と廃棄処理機構はこれに協力しなければならない。加工貿易企業が廃棄処理により得た収入については、税関に事実通り申告し、税関は屑材の国内販売管理規定に基づき課税手続を行う。

税関総署2014年33号 加工貿易貨物廃棄処理に関する問題の公告により、資格を有する機構により、償却、埋立、その他無害な方法により、貨物に物理・化学・生物等の特性を変更する処置を行うものとし、企業は廃棄期限と廃棄完了日を明確にし、手冊或は電子手冊有効期間内に通関手続を終了する必要がある。

2.税関総署令第219号 《中華人民共和国税関 加工貿易貨物監督管理弁法》、税関総署公告2014年第21号 《中華人民共和国税関 加工貿易貨物監督管理弁法》の実施に関する問題の公告

(1)加工貿易貨物の専門帳簿、専門材料の管理と保管について

  1. 専門帳簿
  2. 加工貿易企業は《中華人民共和国会計法》及び税関の関連規定に基づき、税関の監督管理上要求される帳簿、報告表及びその他の証票、記録を設置し、加工貿易貨物の輸入、保管、譲渡、移転、販売、加工、使用、損耗と輸出等の状況につき、合法で有効な証憑に基づく記帳と計算を行わなければならない。

  3. 専門材料の管理と保管
  4. 加工貿易企業は、保税貨物と非保税貨物を区別して管理し、区別して記帳しなければならない。或は主管税関による企業内部情報管理システムの審査を経て、ネットワーク管理の下で保税貨物と非保税貨物のデータ情報を区別できることを確認しなければならず、企業はこの場合、実際の保税在庫量とシステムデータが必ず一致することを確保しなければならない。

    加工貿易貨物は、必ず税関に届け出た場所に保管しなければならず、保管場所を変更する場合は税関の認可が必要で、保管住所や期限等の内容を書面に明記し、保管場所の賃貸契約等所有権を証明する書類のコピーを添付して主管税関に申請する。

(2)外注加工について

  1. 備案(届出)規定について
  2. 加工貿易の経営企業が外注加工業務を展開する場合、外注加工実施日から3日以内に税関にて備案手続を行い、外注加工業務の基本的な情報を届け出、且つ、外注実施日から10日以内に税関に実際の貨物入出庫状況を申告する。同一手冊、同一受託者の貨物受け払い状況は一括して手続できる。備案情報に変化が生じた場合、税関に情報変更登記を行う。

  3. 全工程を外注する事に関する規定
  4. 全工程を外注する場合、企業は外注加工備案時、外注加工貨物に対応する税金相当額の保証金を納付するか或は保証状を提出しなければならない。外注加工情報に変更が発生し、対応する税額が増加する場合、保証金の追納或は保証状の補足提出を行わなければならない。

(3)保税材料の差し替えに関する規定

  1. 加工貿易貨物は、備案済みの専門材料を使用しなければならない。
  2. 税関の認可を経て、経営企業は保税材料同士、或は保税材料と非保税材料の間で差し替えを行なっても好い。但し、差し替える材料は同一企業に帰属し、同一品種、同一規格、同一終了で、商業目的の差し替えではない事が原則である。
  3. 保税材料と国内材料(深加工結転材料を含まない)の間の差し替えは、必ず同一品種、同一規格、同一数量であり、税関関税率が0であり、且つ輸出入許可証に関わる商品ではないことが条件である。
  4. 経営企業により保税材料と非保税材料の間の差し替えが発生する場合同等数量の保税材料を差し替えた後、主管税関之批准後、企業が自社で処理することができる。
  5. 来料加工の保税輸入材料は差し替えてはならない。

※各地の運用状況が異なる場合があります。各所在地にて再度ご確認ください。