中国 中国会計税務

[中国会計] 中国の国家統一会計制度(2)

前回は国家統一会計制度に関するトピックスを紹介いたしました。今回から国家統一会計制度について具体的に紹介いたします。

会計法律制度

中国の法律体系は、憲法、法律、行政法規、部門規章、規範性文件で構成されます。「国家統一会計制度」は、法律である「会計法」に基づいて規定される会計計算、会計監督、会計機構及び会計人員ならびに会計業務の管理についての制度で、国務院財政部門が制定する会計部門規章及び会計規範性文書を含むものとなります。なお、部門規章や規範性文書の法的効力は行政法規に劣後するものとされています。

法律構成 公布形式 会計法規
法律 主席令 会計法、公認会計師法
行政法規 国務院令 総会計師条例、企業財務会計報告条例
部門規章 財政部令
地方政府令
企業会計準則‐基本準則、会計従業資格管理弁法、
代理記帳管理弁法会計従業資格管理弁法 等
規範性文書 財会
(財政部会計司)
企業会計準則‐具体準則、小企業会計準則、
会計基礎工作規範 等

企業内部管理体制・会計機構の設置と会計人員

会計法の規定では、企業内部の管理体制は企業の法定代表人が責任者として管理、運営することが定められています。また、企業は原則として会計機構を設置するものと規定されていますが、小規模な会社については、会計機構を設けず、会計人員を設置して「会計主管人員」を指定すればよいこととなっています。この会計主管人員とは、会計法上の概念であり、いわゆる「会計主任」等とは異なる、会計機構責任者の職権を行使する責任者を指すもので、会計機構責任者または会計主管人員には、会計従業資格書を保有していることの他、会計師資格(※)もしくは3年以上の実務経験が要求されます。

さらに、企業内部の会計機構の責任者(会計主任)に限らず、会計業務に従事する者は、会計従業資格を取得しなければならないと規定されており、2013年1月1日から施行された会計従業資格弁法(財政部令第73号)においては、会計従事資格を取得しなければならない業務として、以下が列挙されています。
(一)出納
(二)照合
(三)資本、基金の計算
(四)収入、支出、債権債務の計算
(五)職員給与、原価費用、財務成果の計算
(六)資産の受入と発送、増減計算
(七)総勘定元帳の記帳
(八)財務諸表の作成
(九)会計機構内部の会計文書管理
(十)その他の会計業務

また、記帳人員と会計事項の承認者や現物保管者は責任権限を明確にして相互に分離すること、出納人員は会計帳簿の照合、会計書類の保管、収入、支出、費用、債権債務科目の記帳業務を兼任してはならないことが定められています。これにより、企業は出納業務と会計記帳業務の最低2名の会計従事資格保有者を雇用する必要があるということになります。

一方、会計機構や会計人員設置の条件を具備しない企業は、代理記帳従事資格を有する機構に会計業務を委託しなければなりません。

会計制度については、「企業生産品原価計算制度(試行)」(財会[2013]17号)が公布され、2014年1月1日から施行されることとなりました。前回紹介した会計管理強化など、中国の会計制度がグローバル市場での信頼性を高めるための政策を進めていることがうかがえます。

※注册会計師(C.P.A)とは異なる、会計専業職務の総称で、会計業務従事資格(上崗証)保有者が実務経験に応じ、会計専業技術資格試験に合格することにより、助手会計師(初級)、会計師(中級)、高級会計師の資格を取得できる。