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[華南ビジネス] 東莞市の医療保険制度改革

東莞市は10月1日より医療保険制度改革を実行することとし、医療保険項目と比率を調整しました。この調整の主な意義は、これまでの「金カード(=国営企業、FESCO加入等の社員で、総合医療保険のみ)」と「銀カード(民営企業、外資企業等の社員で、基本医療保険のみ)」と区別した加入制限をなくすことが期待されるものです。

10月1日施行の医療保険制度内容は以下の通りです。
(1)“「金カード」”中の医療保険個人口座、つまり問診や薬局での支払機能と、“「銀カード」”中の問診機能をそれぞれ取り出し、「金」と「銀」付保内容を統一し、あらためて「基本医療保険」(入院及び問診)と「補充保険」(入院補充と医療保険個人口座)の構成としました。
(2)全体の比率は9.5%を保持します(現行では企業負担0.5%軽減措置継続中)が、金カード者の基本医療保険の基数が本人給与額から銀カード者と同様に市在職職員平均給与(2013年度:2138元)、入院補充保険の基数は市の都市鎮在職職員平均給与(2013年度:4751元)
(3)システムは10月1日より変更され、元の“「金カード」”保有者は基本入院、基本問診、入院補充、医療保険個人口座に移管、元の“「銀カード」”保有者は基本入院、基本問診へ移管されます。

変更前と変更後の医療保険基数・比率表は以下の通りです。


※総合医療保険(元の“「金」”カード)のメリットは、医療保険個人口座の積立で本人及び家族
の薬が市内各薬局で買えることと、基本医療(問診と入院を含む)費用を超える部分をカバーできることです。外資企業は従来自ら“「金」”カードに加入することはできず、FESCOを通じての加入のみが認められていたため、企業が任意で付保できるようにすべきとの声が出ていました。今回の改革により、近い将来には基本医療に加えて外資企業も任意で自ら入金補充と医療保険個人口座への加入も可能となることが期待されます。

※基本医療保険は現在、基本医療(入院)2%⇒1.75%、基本医療(問診)0.3%⇒0.05% の企業負担軽減措置が延長して講じられており、2014年7月より元の比率に回復する予定です。

※毎年7月に前年度の在職者平均給与に基づき上下限が調整される。2013年7月に発表され施行中
の2012年度各給与水準は下記の通り。
 
1310元:東莞市の最低賃金
2138元:東莞市2012年度全市在職職員平均給与
4751元:東莞市2012年度都市・鎮在職職員平均給与
2850.6元:東莞市2012年度都市・鎮在職職員平均給与の60%
14253元:東莞市2012年度在職の平均給与の3倍

《東莞市社会基本医療保険規定》(2013年10月1日施行、有効期限は2018年9月30日)による加入、納付及び待遇の基本的な内容は下記の通りです。

加入:本市行政区域内の企業の在職人員(その他の対象者は省略)
納付:・医療保険費は減免してはならない。法定退職年齢に達した時、累計納付年数が男性30年、
女性25年以上で、当市での実際納付年齢が10年以上の場合、退職後は基本医療保険を納付
しなくて好い。退職後、年数に達するまで納付することもできる。
・納付を中断し3ヶ月を超える場合、あらためて加入しなければならない。
待遇:・市の規定に符号する社区問診、入院、特定問診と生育費用が支払われる。
・保険加入2ヶ月納付後第3ヶ月目から問診、入院及び特定問診基本医療保険待遇の享受が可能12ヶ月満額納付後13ヶ月目から生育医療費用の享受が可能
・次の場合は、基本医療保険支払い対象ではない。
(1)労災保険から支払われる場合
(2)第三者が負担すべき場合
(3)公共衛生が負担する場合
(4)海外の医療費用
(5)国家と省が規定するその他の項目。
・指定社区衛生服務機構の基本医療費用は、基本医療保険基金より70%を支払う。
・最低保険費用支払(例えば、1級以下医院最低保険費用支払額は500元)以下の場合個人負担基本医療入院保険は金額により95%~45%が保険基金より支払われる。
・国と省の制定する保険薬品目録、診療項目と医療服務施設範囲に従い医療保険費用からの支払いが認められる。