ベトナム 個人所得税

ベトナム・財務省、法人税法の実施細則に関するCircular

財務省は、政府の法人税法No.14/2008/QH12及び法人税法に関するガイダンスである2008年12月11日付けDecree No.124/2008/ND-CP、2011年12月27日付けDecree No.122/2011/ND-CPに関する実施細則である、2012年7月27日付けCircular No.123/2012/TT-BTCを発行した。(原文

※2008年6月3日付け法人税法No.14/2008/QH12に基づく
※2006年11月29日付け税務署管理法No.78/2006/QH11に基づく
※政府の法人税法に関する実施細則である2008年12月11日付けDecree No.124/2008/ND-CPに基づく
※政府の法人税法に関する実施細則である2008年12月11日付けDecree No.124/2008/ND-CPの修正版である2011年12月27日付けDecree No.122/2011/ND-CPに基づく


政府の機能、任務、権限及び組織構図を規定するDecree No.118/2008/ND-CPに基づき、財務大臣は、税務総局長の提案に対し、法人税に関する実施細則を以下のように規定する。

I. 法人税課税期間の変更

企業が法人税課税期間を変更する場合(西暦年度から会計年度への変更又はその逆の変更を含む)、変更年度の法人税課税期間が12ヶ月間を超えてはならない。

例:
A企業に関して、2011年度の課税期間は西暦年度となっている(2011年1月1日~2011年12月31日)
2012年、課税期間を会計年度(4月1日~翌年3月31日)に変更

  • 変更課税期間:2012年1月1日~2012年3月31日(3ヶ月)
  • 次年度の課税期間:2012年4月1日~2013年3月31日(2012年の課税期間)

優遇税適応企業が課税期間を変更する際、以下のいずれかを選択できる。
※課税期間変更年度に優遇税を適応する
※課税期間変更年度に一般の税率を納税し、次年度に優遇税を適応する

II. 課税売上

  1. 資産レンタル活動に関して、課税売上は課税期間における貸借者の支払使用料となる。賃借者が数年間の使用料を前払いした場合は、課税売上は年度毎相当の使用料を分けて計上する、又は前払い使用料全額を計上する。

    優遇法人税適応企業が前払い使用料全額を課税売上にする方法を選択した場合、年毎の法人税の免税、減税額は『前払い使用料全額÷相当する使用年数』に基づいて決定する。

  2. ゴルフ場経営活動の課税売上は、課税期間におけるゴルフの会員権、プレーチケットの販売金額及びその他の未収金となる。
  3. ※日別のゴルフプレーカード、チケット販売形式に対しては、課税所得の決定基準となる。ゴルフ経営売上とは、課税期間中のゴルフプレーカード、チケット販売金額となる。 
    ※使用期間数年間のチケット、会員権を販売する形式に対して、課税所得の決定基準となるゴルフ経営売上とは、販売総額を会員権の使用年数で割った金額となる。

III. 課税所得を決定する際の費用について

  1. 財産、商品の自然災害、火災、伝染病による損害は損金算入できる。地方人民委員会、工業団地・輸出加工区・経済地区管理局発行の自然災害、火災、伝染病に関する承認書を提出しなければならない。
  2. 経年劣化により無価値になる商品は、無価値化したことによる賠償金がない場合は損金算入できる。以前は損金算入をするには事前に消耗基準値を登録しなけれならなかったが、Circular No.123では消耗基準値の事前登録条件が取り消された。
  3.  固定資産の減価償却
    a/ 休憩室、食堂、着替室、トイレ、医療室、トレーニング室における内装設備は課税所得を決定する際に、減価償却費を損金算入できる。

    b/ 固定資産となる条件を満たさない複数回使用の資産(工具、道具、包装…)については、課税期間に事業費用として最長2年間に分けて計上できる。

    c/ Circular No.130で記載された土地賃貸最短期間は固定資産の減価償却期間を下回らない条件を撤廃した。したがって、本社オフィス、賃貸土地上の建物(国家又は工業団地を除く)の減価償却費用は、賃貸期間が減価償却期間より短くとも損金算入できる。

    d/ 土地使用権の価値
    不動産購入契約に物件の価値と無期限土地使用権の価値を分けていない場合は、減価償却できない。無期限土地使用権の価値は、購入時点における省・直轄市人民委員会の定められる方法により計算する。この場合、建物の価値は減価償却できる。

  4. 材料使用基準値
  5. 企業は製品の主要材料の使用材料基準値を設定し、年初の3ヶ月間又は事業開始してから3ヶ月間以内に税務機関に申告しなければならない。

    企業は製品の主要材料の使用材料基準値を定められた期間に税務機関に申告しない場合、税務機関は使用材料基準値をCircular No.123が有効となる前の製品に関する実績を基に設定する。

  6. 労務費用
  7. 損金参入できない費用が新たに追加された。
    ・退職手当引当金(失業保険加入義務がない企業は失業手当引当金を費用計上可能)
    ・現在の法が適応されない退職手当の支払金。

  8. その他の費用:
  9. 航空券:(電子商取引サイト経由)オンライン航空券購入の費用を計上するための証書に関する明細規定が追加される。

    連鎖販売取引統括者が勧誘者へ支払った販売マージン、ボーナスは、上限額が規定される広告、マーケティング、仲介料に属する費用ではない為、損金参入できる。勧誘者が法人である場合は課税所得として申告し、個人である場合は支払う前に個人所得税を控除する。

  10. 為替差異
  11. 法人税課税期間に当期為替差異又は外貨建ての未払金の再評価による為替差異が発生する場合は以下のように処理する。

    ※主要事業の売上又は費用に直接的に影響する当期為替差異は主要事業の所得又は費用に計上する。
    ※主要事業の売上又は費用に直接的に影響しない当期為替差異は主要事業の所得又は費用に計上する。当期為替差異による損失が発生する場合は、主要事業の費用に計上する。当期為替差異による利益が発生する場合は、その他の収益に計上する。
    ※上記の為替差異は年末の現金、預金、その他の外貨建ての売掛金に関する残高の再評価による為替差異を含まない。
    ※会計年度末の未払い金の再評価による為替差益が、会計年度末の未払い金の再評価による為替差損に相殺される。相殺後、為替差益となる場合はその他の収益に計上する。為替差異損となる場合は主要事業の費用に計上する。