ベトナム

[ベトナム要点解説] 2012年度における納税に関する優遇措置について

2012年5月及び6月、VAT、法人税、個人所得税等について困難を排除するための納付期限延長減税・免税を決定する決議Decition13/NQ-CP、Resolution 29/2012/QH13が発行された。
以下、決定された政策の内容に関してまとめる。

1. VAT(Decition13/NQ-CP、ガイダンスCircular83/2012/TT-BTC)

(1)2012年4月、5月、6月に発生したVATの納税について、6ヶ月納税期限を延長する。

  • 2012年4月発生分のVAT・・・2012年11月20日までに納税
  • 2012年5月発生分のVAT・・・2012年12月20日までに納税
  • 2012年6月発生分のVAT・・・2013年1月20日までに納税


(2)対象となる企業

  1. 中小企業
  2. 宝くじ、不動産取引、証券、金融、銀行、保険事業および、特別消費税の課税対象の商品・サービス生産販売事業所得から発生するVATは対象外である。

    対象となる中小企業のカテゴリーは、Decree56/2009/ND-CPにおいて規定されている。それによると、中小企業とは農林水産業や製造業の場合、資本金1,000億ベトナムドン以下あるいは従業員数300人以下、商社やサービス業の場合、資本金500億ベトナムドン以下あるいは従業員数100人以下の企業である。

    Circular83/2012/TT-BTCにおいて、資本金額の判断基準は以下のとおりである。
    ・2011年12月31日の財務諸表の資本金額とする。
    ・2012年1月1日以降に設立した企業は、事業ライセンスあるいは投資ライセンスに明記されている定款資本金額とする。

    従業員数に関する判断基準は以下のとおりである。
    ・2011年における平均従業員数
    ・2012年1月1日以降に設立した企業:
    2012年5月以前に設立した企業・・・2012年4月30日までの平均従業員数
    2012年6月以前に設立した企業・・・2012年5月31日までの平均従業員数
    2012年7月以前に設立した企業・・・2012年6月30日までの平均従業員数

    いずれの場合も3ヶ月未満の短期労働者を除く。

    また様々な事業を行っている場合は以下の基準で事業のカテゴリーを定める。
    ・2011年最大の従業員がいる事業
    ・2011年の最大の売上高となる事業

  3. 労働集約企業
  4. 農林水産物、繊維、皮革・履物、電子部品の生産や加工、経済社会インフラ建設を行う労働集約型企業

2. 法人税(Decition13/NQ-CP、ガイダンスCircular83/2012/TT-BTC)

(1)2010年以前の法人税について、2012年5月10日までに納税していない場合、納税期限を2012年10月1日まで延長する。

(2)上記(1)に関する対象企業

  1. 中小企業(詳細はVATの項と同様)
  2. 労働集約企業(詳細はVATの項と同様)
  3. 製造および水路運輸(国内水路運輸及び国際海上運送を含む)に利用される機械類、鉄鋼、セメントを製造する企業、不動産業を営む中小企業

(3)2011年の法人税に関して未納がある場合、納付期限を2013年1月2日まで延長する。

(4)上記(3)に関する対象企業
製造および水路運輸(国内水路運輸及び国際海上運送を含む)に利用される機械類、鉄鋼、セメントを製造する企業、不動産業を営む中小企業

3. 法人税(Resolution 29/2012/QH13 ガイダンスOffical letter 8465/BTC-CST)

2012年の法人所得税について、税額30%を減税する。減税の対象となる企業は下記となる。

  1. 中小企業
  2. ただし、宝くじ、不動産取引、証券、金融、銀行、保険事業および、特別消費税の課税対象の商品・サービス生産販売事業所得から発生する法人所得税は対象外である。

  3. 農林水産物、繊維、皮革・履物、電子部品の生産や加工、経済社会インフラ建設を行う労働集約型企業

4. 個人所得税(Resolution 29/2012/QH13 ガイダンスOffical letter 8465/BTC-CST)

2012年7月1日から2012年12月31日までに、給与、賃金および事業所得がある場合で、1人当たり400万ベトナムドンの基礎控除や扶養控除、社会保険等を控除した課税所得が累進課税表の第1段階の課税対象に相当する場合(月額所得500万ベトナムドン未満の納税者)は免税となる。

5. その他(Resolution 29/2012/QH13 ガイダンスOffical letter 8465/BTC-CST)

工員や大学生向けの宿泊事業を行う個人・世帯、子どもを預かる個人・世帯、工員向け食事提供サービスを行う個人・組織で2011年度と同水準の価格でサービスを提供している場合、2012年1月1日からの個人所得税、VAT、法人税のみなし課税額は免税となる。