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[ベトナム要点解説] VAT還付手続き

1. VATの一般概要

付加価値税 (Value Added Tax: VAT) とは、国内における物の販売やサービスの提供並びに外国貨物の輸入に対して課される税金であり、日本の消費税に近い税金である。
商品の販売やサービス提供にかかる売上に対しては売上VAT(アウトプットVAT)、物品の購入等仕入に対しては仕入VAT(インプットVAT)が発生する。
毎月の売上VATと仕入VATの合計を比較し、売上VATが大きい場合はその差額を申告・納付、仕入VATが大きい場合は翌月の申告に繰り越される。

2. VATが還付されるケース

売上VAT より仕入VATの方が上回り、以下のケースに該当する場合はVATを還付することができる。
1 連続3ヶ月間において、相殺できない仕入れVATがある。
2 1ヶ月間で相殺できないVATが2億ドン以上ある。
3 設立したばかりの企業で、準備期間1年以上あるために売上VATが発生しておらず、かつ仕入れVATが2億ドン以上ある。(この場合は年間単位で還付手続き)

3. 還付手続き方法(現金による通常の還付の場合)

以下の必要書類を準備し、管轄税務局に提出する。
・還付手続き申請書
(Form No.01/DNHT及びFormNo.01-3/DNHT、いづれもCircular28/2011/TT-BTCに添付されている。)
・取引にかかる契約書(売買契約書、輸出契約書、製造に関する契約書等)
・取引された物品、数量、値段等、詳細なリスト
・契約が終了した旨にかかる合意書(Liquidation minutes)又は契約相手方との債権債務完了に関する記録
・支払いに関する証明書(インボイス、銀行支払い証明書等)
・輸出にかかるVAT還付の場合は関税申告書

4. 輸出取引に関する特別措置

輸出取引の場合、還付ができるレベルの仕入VATが積み上がっていても、銀行支払い証明書の取得に時間がかかり還付手続きができないケースがある。政府は輸出取引を推進するため、輸出にかかるVAT還付手続きについては以下特例手続きを認めている。
輸出契約に基づき、関連する仕入VATの90%を先に還付し、銀行支払い証明書を受領した5日までに税務局に提出することで残りのVATを還付することができる。なお、契約書には支払い方法、期日等詳細が明記されている必要がある。