ベトナム ベトナム会計税務要点解説

[ベトナム要点解説] 法人設立後の会計方針の通知について

1. 税務局への会計方針の通知とは

ベトナムで法人を設立する場合、事業ライセンスを取得後、社判を取得したり、税務コードを申請したりと様々な手続きを行う。その中のひとつに、採用する会計方針について管轄の税務局に通知をして承認を得る必要がある。項目によっては条件を満たす必要もあるため、条件が満たされているか、また企業それぞれの環境・状況等を鑑み、検討する。

2. 通知する内容

一般的に、通知する会計原則の内容は以下であるが、企業の業種等により異なる場合もある。

(1)会計年度

ベトナムでの会計年度末は、通常は12月末であるが、3月、6月、9月末から選択することも可能である。なお設立後、税務コード取得のためのフォームに記載した場合は、別途通知は不要である。

(2)会計通貨

原則としてベトナムドンを用いて会計記帳・会計報告を行うが、取引のほとんどを外貨で行うなどの事由があれば外貨を用いることが可能である。
なお、外貨を用いて記帳を行う場合でも、当局への財務報告はベトナムドンへ換算した財務報告も必要となる。

(3)会計基準

通常は、2006年3月に公布された会計基準であるDecition15/2006/QD-BTCに準拠して、記帳、財務諸表の作成を行う。
しかし、小規模企業であり、かつ有限会社や上場していない株式会社等に限り、2006年9月に公布された決議であるDecision48/2006/QD-BTCに準拠したに簡易的な会計基準を採用することが認められている。(以下Decision48とする。)
Decision48では、26種類あるベトナム会計システム(VAS)のうち、定められた7種類のVASに準拠して会計記帳を行えばよく、キャッシュフロー計算書の作成も義務付けられていない。(推奨レベルである。)
Decition48を採用する場合は、税務局の承認を必要とする。

(4)棚卸資産の評価方法

 ベトナムでは以下の4種類の方法で棚卸資産を評価するため、一つを選択する。

  1. 個別法
  2. 加重平均法
  3. 先入先出法
  4. 後入先出法

(5)固定資産の償却方法

使用する固定資産のリストと償却方法について通知する。
現在の法令上、定額法、定率法、生産高比例法が認められているが、定率法、生産高比例法を採用する場合は以下の条件を満たす必要がある。

  1. 定率法
    • 新品の固定資産である
    • 資産が機械装置、測定機器等であること
  2. 生産高比例法
    • 製品製造に直接関連すること
    • 総生産量が把握できること
    • 実際の月次の操業度が当初計画していた操業度の50%を下回っていないこと

3. 期限及び通知方法

法令上、いつまでに税務局に通知するかは明記されておらず、曖昧となっている。しかし、投資ライセンス取得後から1ヶ月までに行うことが通常である。また、固定資産の減価償却方法等は、実際に取得後に、別途通知することも可能である。
フォーマットについては特に定められていない。管轄の税務局宛にレターを作成し、General Directorによる署名及び社印を押印して提出をする。
なお、一度通知し承認を得た内容に変更が生じる場合は、その旨税務局に通知する。しかし、例えば会計年度を変更する場合、その変更後の課税年度は12カ月以内でなければならないため、12ヶ月以上監査を実施していない期間がある場合は、別途監査を実施しなければならない等、変更によって生じる影響を考慮する必要がある。