中国

[実務入門] (27) 上海市における増値税改革の試行 (1)

今回は直近のトピックである、上海市における営業税から増値税への改革について内容を簡単にご紹介します。これは2011年10月26日に開催された国務院常務会議において、政府は、<1>貨物及び役務にかかる二重課税問題の解消、<2>税収制度の完全化、<3>現代サービス業の発展の支援するため、増値税の改革を行うことを決定したことに端を発した流れで、早速2012年1月1日より上海市の一部業種において試行されることが決定しています。

したがって、2012年1月1日からは以下で見ていくような地域と業種に限定された動きですが、今後地域は全国へ、業種はより多くの業種へ、拡げていくことが明言されています。この拡大の動きは思った以上に急速に行われる可能性が高いと思われ、現在対象となっていない日系現地法人の皆様におかれましても、改革の概要の把握、及び事例の確認を強くお勧めします。

1.増値税改革の試行の主な概要

(1) 改革と試行の内容とその違いについて

営業税徴収業種から増値税徴収業種への変更を柱とした増値税改革の主な内容は、以下の表のとおりとなります。増値税改革は、まず、上海市において2012年1月1日より試行されます。上海市で行われる試行内容は、人民政府が掲げる改革内容と比較した場合、適用税率や税額査定方法等は同一となります。しかし、注意しなければいけないのは、上海市で試行対象となる業種と人民政府が掲げる変更対象となる業種は全く同じでないということです。さらに、2.に示すとおり、新たな一般納税人の基準が試行を規定する通知で示されました。

※上海市での改革試行内容(上記表との相違点)

試行対象となる業種: 交通運輸業、一部の現代サービス業(研究開発技術サービス、情報技術サービス、文化創造サービス、物流補助サービス、有形動産賃貸サービス、鑑定コンサルティングサービス)
試行時期: 2012年1月1日

(2) 一般納税人と小規模納税人

上海市で行われる試行では、一般納税人の認定基準となる年間課税売上高が500万元超とされます。なお、試行においては、年間課税売上高が500万元を超えない場合においても、税務当局へ申請することにより一般納税人となることができます。

(3) 営業税優遇措置

従来営業税において実施されている優遇措置は、増値税移行後も継続され、かつ、増値税の特徴に合わせて調整が行われます。

次回は中国全国の各業種の法人が、どのタイミングで増値税移行となるのかについてみていきます。

(※弊社はこの情報内容に基づく意思決定に対して一切の責任を負いません。意思決定に際しては、顧問会計事務所等の専門家にご相談いただくようお願いいたします)