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インドネシアの移転価格税制について

移転価格税制は国際的に常に話題となるトピックスですが、ここではインドネシアの移転価格税制について簡単に説明します。

インドネシアでは従来、移転価格に用いられる独立企業間価格の算定については明確に規定されていなかったのですが、2009年に施行された改訂所得税法において、独立企業間価格の算定方法を独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法、及びその他の方式を採用して更正することができると規定しています。これにより、インドネシアでの移転価格税の制度はより国際的な基準に近づくものと思われます。実務的には、2009年から使用されている法人税確定申告の書式において、関係会社との取引に採用されている価格算定方法を含む関係会社間取引に関する情報の詳細を提供することを義務付けています。

またインドネシア国税総局は税務通達において、現在までに82 業種の総利益率、経常利益率、純利益率等のベンチマーク・ガイドラインを公表しています。これは国税総局が移転価格税制を含む税務調査対象の選定にあたり使用されるものとしています。一方、インドネシアでは移転価格税に関連する事前確認制度が未だうまく機能していないため、関連会社間の取引価格の設定方法については、必要に応じ課税当局に対して説明できるような資料等を事前に準備しておくことが大切です。

なお、2010年11月3日付租税総局長規則No.PER-48/PJ/2010では、移転価格の訂正において発生した二重課税について、インドネシア課税当局と租税条約締結国課税当局との間で行われる相互協議(Mutual Agreement Procedure)の申請要件や相互協議を行うことができる条件等、またそのプロセスについて規定しています。