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[ベトナム 会計・税務] 会計基準

Q. 財務諸表作成に関する注意点などはありますでしょうか。ベトナムの会計基準の特徴を教えてください。

A. 会計基準とは、会計処理および財務諸表の作成・報告に関するルールであり、経済活動の複雑化および国際化の流れを反映しています。ベトナムにおきましても2005年末までに26に及ぶ会計基準が順次整えられてきています。以下、主な基準を紹介します。

1. 売掛金

売掛金は、支払い側の財政状態によりその回収が左右されます。そこで予想される将来の貸し倒れ額を予め費用計上するとともに、貸倒引当金として売掛金残高から控除する形で現在の売掛金評価額を表します。日本では貸倒の問題が具体的に生じていなくとも、過去の貸倒実績を踏まえて貸倒引当金を計上することができますが、ベトナムの場合、支払い側の倒産など具体的事実が計上基準として求められています。

2. 棚卸資産

材料、仕掛品、製品、商品などの棚卸資産の払出単価の計算は、個別法、平均法、先入先出法、後入先出法が列挙されていますが、日本で認められている売価還元法の記載がないため、その適用に際しては事前に税務局へ登録する必要があります。また、決算時の評価ですが、日本では一時的な価値の下落も損失として認識しますが、ベトナムでは一時的な下落は損失として認識しません。

3. 固定資産

ベトナムの固定資産の計上基準は、取得原価が1千万ドン以上であり、且つ1年以上に亘り利用されるものです。この条件を満たす場合、取得時の費用とはせずに固定資産として計上し、利用が見込まれる耐用年数を通じて、費用を配分していきます。ベトナムでの減価償却は、原則として定額法が採用されるため、耐用年数中の各期間は原則として同額が費用配分されます。

4. 外貨建取引

外貨建取引とは、取引価額が企業会計で採用している通貨単位と異なる通貨で表示されている取引を指し、物品の販売やサービスの授受、借入金に関する契約などが含まれます。通常はベトナムドンによる通貨単位にて記帳を行いますので、米ドルや円建取引をベトナムドン相当額に換算する処理が必要となります。国家銀行がベトナムドン為替相場を開示していない通貨の場合、米ドルを基準に換算を行います。

5. リース取引

名目がリースであっても、実質は資産の売買と変わらないケースもあるため、借り手側の会計処理は、契約内容に応じて異なります。実質もリースであれば、賃借料として費用計上しますが、実質が売買であればファイナンスリースとして資産計上します。ベトナムではリース期間満了後の所有権の借り手への移転などもファイナンスリースの条件として認められていますので、日本の基準とは異なっています。

今月のまとめ

  1. 売掛金:支払い側の倒産など具体的事実が貸倒引当金の計上基準
  2. 棚卸資産:一時的な価値の下落は損失として認められない
  3. 固定資産:1千万ドン以上で1年以上に亘り利用するもの
  4. 外貨建取引:企業会計上の通貨単位と異なる通貨で表示されている取引
  5. リース取引:実質が売買であれば資産計上

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