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[まとめ] 中国・企業所得税の確定申告を乗り切るための3つのポイント

日本の確定申告は既に終了したようですが、中国では5月末に確定申告の時期を迎えます。

基本的には中国の確定申告も日本と同様の手続を行い所得税を清算しますが、企業形態や地域により若干異なる部分があります。また税務局が重点的に審査するポイントを公表している地域があり、申告時の注意点として参考になります。

今回は確定申告時に注意するポイントについて、深セン・広州・上海の確定申告に関する通告をもとに整理してみたいと思います。

1. 企業形態による申告方法の違い

帳簿をつける能力があり利益を正確に計算できる通常の現地法人は、帳簿に基づいて企業所得税を計算・納付します。この方法は帳簿検査徴収(查账征收)と呼ばれ、確定申告の分類では「A類」の申告書を用いて申告します。

一方、分公司の計算方法は、総機構(本社)と合算した上で50%を現地で納税する「一括納税」という方法が採られています(詳しくは [まとめ] 分公司の納税方法に関する2つのポイント [4] を参照)。分公司のある現地での確定申告は不要となり、総機構がまとめて申告を行います。

代表処については基本的に売上がないため、経費から一定の利益率を基に利益を算出して納税する「経費課税方式」が一般的に採用されています(詳しくは [まとめ] 中国・代表処の課税をめぐる二大変化 [5] を参照)。この方法は課税所得率確定徴収(核定应税所得率征收)と呼ばれ、確定申告の分類では「B類」の申告書を用いて申告します。

進出形態 徴税方法 確定申告
現地法人 帳簿検査徴収 A類
分公司 総機構による一括納税 分公司の地域では不要、総機構が一括して申告
代表処 定率徴収 B類

2. 確定申告鑑証報告の必要性

地域によっては確定申告時に、資格を有する税務師事務所による「企業所得税確定申告鑑証報告」の提出を求められる場合があります。広州・深セン・上海の3都市で比較すると、広州では強制、深セン・上海では任意となっています。

場所 鑑証報告
広州 強制
深セン 任意
上海 任意

広州市の企業の方は、早めに確定申告の準備をし予め税務師事務所に鑑証報告を依頼する必要がありますのでご注意下さい。

3. 確定申告の審査

上海市の通告には、確定申告の審査について一定のガイドラインが記載されており、確定申告の注意点として参考になります。

審査のポイント

  1. 年度納税申告表と企業財務諸表の数字が一致し、各項目間の論理関係が対応し、計算が正確であるかどうか。
  2. 規定により過年度の損失額を繰越または補填しているかどうか。
  3. 国家規定の優恵政策を享受したかどうか。税収減免条件に符合するかどうか。
    例えば、企業所得税減免税優恵が現行法律法規及び税収政策の規定、及び減免税関連規定の手順に符合しているかどうか。納税調整を行っているか、適用税率は正確かどうか等の内容。
  4. 税前控除の資産損失は関連規定手順に符合しているか。地区を超えて経営し企業所得税を一括納付する納税人は、その分支機構が税前控除した財産損失が分支機構の主管税務機関により証明を発行されているかどうか。
  5. すでに予納した企業所得税の完税証憑に基づき、実際予納金額を確認する。地区を超えて経営し企業所得税を一括納付する納税人の分支機構が予納した税金が 《中華人民共和国企業所得税総合納税分支機構分配表》と一致しているかどうか。
  6. 地区を超えて経営し企業所得税を一括納付する納税人の主管税務機関は、納税人の総合納税申告資料の審査時、その分支機構の申告内容に疑問点を発見し、さらに確認が必要な場合、その分支機構の主管税務機関に税務事項協力調査書を発行し、回答を得た後に相応の処理を行う。

※「地区を超えて経営し企業所得税を一括納付する納税人」とは、分公司を有する総機構(本社)のことです。

財務諸表と申告書のデータの一致、分公司と本社の合算に誤りがないかどうか、欠損の繰越し、優遇税制の適用の有無、税前控除(損金算入)の計算、四半期予納金額の確認等、重点的にチェックしてみてください。


最近の中国課税当局は、税収減を課税強化で補う動きが見られていますので、各企業は守りをきちんと固めておきたいところです。

また、こちらでは動画で分かりやすく解説しています。ぜひ一度ご覧下さい。