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[Q&A] 非居住者による技術提供に対する企業所得税の課税

Q. 中国上海にある顧客設備の定期検査のため役務(技術派遣)を提供するのですが、期間が6ヶ月未満であるので現地の客先へ10%の所得税の支払いは二国間租税協定に従い免除となるので手続きを依頼したところ、客先の管轄税務局より単なる役務は対象になるが技術提供や技術指導に関しては対象とならない旨返事を頂きました。

過去の契約では免除の手続きが出来ている実績がある事からこの先客先へどのように説明をしたらよいかを教えてください。

記事の内容は、法規定の変更などにより、現在の状況と異なっている場合がありますのでご留意ください。

A. 最近の国外企業の課税強化の一環と考えられます。
役務提供に関しては、PEで課税するか、技術使用料で課税するか少なくともどちらかで課税しようとしていると思います。

【根拠となる規定】

租税協定の特許権使用料条項の執行における問題(国税函[2009]507号 [1])と考えられます。
当該役務提供で技術が移転したと判断して、使用料として企業所得税10%を源泉徴収します。

【反論の根拠】

税務局に対して反論する場合、「同規定四より、当該サービスの提供は技術の譲渡許可は行っておらず、技術の移転はなく、租税条約の営業利益条項の規定を適用を受けるべきで、かつ(6ヶ月未満のため)PEを構成していないので、企業所得税はかからないはずである」と主張することができます。

4、サービス契約において、サービス提供側はサービスの提供過程において、ある専門知識と技術を使用したが、これらの技術の譲渡又は許可を行わない場合は、この種のサービスは特許権使用料の範囲に属しないものとする。一方、サービス提供側がサービスを提供したことにより形成された成果は、租税条約の特許権使用料の定義の範囲に属し、且つサービス提供側は依然として当該成果の所有権を保有し、サービスの受入側は当該成果に対して使用権のみを有する場合、当該サービスにより生じた取得は租税条約の特許権使用料条項の規定を適用する。

ただ、この時期に税務局が実際に認める可能性は低いと思われます。

尚、お客様には最近の課税強化の事情をご説明いただくことがベストかと存じます。