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[まとめ] 移転価格調査から会社を守るための3つのポイント

2009年1月に「特別納税調整実施弁法」が公布され、2008年1月1日に遡って適用されることになり、いよいよ中国の移転価格調査が本格化しています。

企業年度関連取引報告表、同時文書、コストシェアリング協議、事前確認協議‥等、聞き慣れない言葉が出てきておりますので、一度全体像を整理しておきたいと思います。

1. 準備しなければならない資料

すべての企業を対象に「企業年度関連取引報告表」の提出義務があります。

また一定の条件を満たす企業は「同時文書」を準備しておくことが必要です。

企業年度関連取引報告表

同時文書

2. 特別納税調整リスクを軽減する方法

同時文書を準備しておくことで移転価格調査に備えることは可能ですが、より積極的にリスクを回避したい場合は事前協議が効果的です。

また、関連者と共同で開発を行う場合は、コストシェアリング契約の締結をすることで損金算入が認められます。

事前確認協議

コストシェアリング契約

3. 5つの価格算定方法

企業所得税法及び特別納税調整実施弁法によると、合理的な移転価格算定方法について、以下の5つの方法が規定されています。

以前は「基本三法」(独立価格比準法・再販売価格基準法・原価基準法)の採用が基本とされていましたがこの区分は廃止され、利益を利用した方法もこれらと同列に扱われるようになりました。

どの方法が自社に適しているか、商品の性質により判断する必要があります。

(図:5つの価格算定方法のイメージ)

5つの価格算定方法

  1. 独立価格比準法
    • 非関連者間で行われる、関連取引と同一又は類似する取引の価格を公正取引価格とする。
    • 実務的に困難な場合が多い。
  2. 再販売価格基準法
    • 関連者から購入した商品を非関連者に再販売する価格から、比較対象非関連取引の総利益を控除した後の金額を公正取引価格とする。
    • 簡単な加工、単純な売買業務のみを行う場合に適用。
  3. 原価基準法
    • 合理的な原価に比較対象非関連取引の総利益を加えた金額を公正取引価格とする。
    • 有形資産の売買、役務提供、資金融通の関連取引に適用。
  4. 取引単位営業利益法
    • 比較可能非関連取引の利益率指標(資産収益率、売上利益率等)を用いて関連取引の純利益を確定する方法。
    • 実務的に最も現実的な方法。
  5. 利益分割法
    • 企業とその関連者の合算利益または損失を、各当事者間における合理的基準を採用することにより配分する方法。
    • 関連取引の統合性が高く、各当事者の取引結果を単独で評価することが難しい場合(例えば重要な無形資産がある場合)に適用。

詳細な手続は全訳文をご覧ください。