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[M&Aは今] (19)外商投資企業の合併と分割

中国における外国企業による合併買収に続き、外国企業が国内に設立した外商投資企業が合併買収を行う場合の規定について紹介します。
外商投資企業のM&Aに関しては、従来外商投資企業の国内投資行為の1つとして2000年に規 定が発布されていました。更に本連載第 回で中国のM&Aに吸収/新設合併、存続/解散分割があると記載しましたが、外商投資企業の合併・分割に ついての規定が2001年に発布されています。

外商投資企業の国内投資を行う条件として、(1)登録資本金が全額払込み済みであること (2)利益の計上を始めていること (3)違法経営記録が無いこと (4)累計投資額が純資産の50%を超えてはならないこととされています。

外商投資企業が中国内資企業を合併する場合は更に、(1)対象企業は「会社法」に基づき設立された有限責任公司か或いは株式有限公司であること (2)合併後の会社が産業資格要求を満たしていること(3)合併後外国側投資者の持ち株比率が25%を下回ってはならないこと(4)既存従業員を極力就業させること 等が必要とされています。
登録資本金について、合併後の登録資本金額は、合併企業間の登録資本金の和とされています。一方分割の際、分割後の企業の登録資本金額の合計は、分割前の登録資本金額にならなければならないとされています。

審査認可手続き

会社の吸収合併では、吸収する会社が申請者となり、新設合併では、合併する各社のうち一社が申請者となって申請します。合併予定企業の元の審査認可企業が2つ以上ある場合に、合併後解散する予定の会社は、合併申請を開始する前に、合併による解散申請を行うこととされています。
審査機関はその行政レベルに応じて、投資総額の審査上限が決められており、合併後の投資総額の和が申請地の審査権限を超える場合は、更に上級の行政レベルの審査機関に申請が提出されることとなります。

合併(・分割)審査認可申請手続き手順は図の通りとなっています。この手続き後、外商投資企業批准証書を返却・変更或いは受領した上で、合併または分割後に存続或いは新設する会社は、営業許可証を変更或いは受領し、その後30日以内に税務・税関・外貨管理などの登記機関で関連の審査手続きを行います。解散する会社は抹消などの手続きを行うこととなります。

外商投資企業の合併・分割・登録資本減少の公告及び通知見本

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図にも示す通り、合併・分割申請を行う会社は、初歩的回答受領後10日以内に当事者の債権者に対し通知を出し、且つ、30日以内に新聞紙上で公告することとなっています。

上記通知書を受領した債権者は受領日から30日以内に、通知書を受領していない場合は第1回目の公告日から90日以内に、債務の継承案に対する修正要求や、全額返済、担保提供要求などを行う権利があり、これらの要求を行わない場合、予定の合併・分割による債務継承案を認めたとみなされることになります。2003年にはこれらの公告・通知の書式サンプルが特に発布され、参考することができるようになっています。
(以上)